2015 Fiscal Year Research-status Report
眼鏡型ウェアラブルデバイスを用いた避難訓練システムの開発と防災教育実践
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15K01026
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
光原 弘幸 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (90363134)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 防災教育 / 情報システム / ウェアラブルデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,眼鏡型ウェアラブルデバイスを用いた次世代のICT活用防災教育を実現し,その効果を実践的に検証することである.(1)多くの人がいつでもどこでも,(2)状況に応じた情報を参照しながら避難訓練を受け,(3)避難体験を振り返ることもできる,避難訓練システムを開発する.平成27年度は,HMD(Head Mounted Display)とAR(Augmented Reality)を組み合わせ,3つの避難訓練システムを試作した. 1.没入型HMD(Oculus Rift)とマーカ型ARを組み合わせたシステムは,災害状況の視聴覚的リアリティを向上させることで,避難の困難さを疑似体験させることができる. 2.没入型HMD(Google Cardboard)を用いたスマートフォンベースのシステムは,マーカ/マーカレス型ARを併用可能で,比較的容易に発災時の避難指示を疑似体験できるようになっている. 3.GPS(Global Positioning System),透過型HMD(スマートグラス)と簡易的ARを組み合わせたシステムは,デジタルマップ上に俯瞰的な津波シミュレーションと訓練参加者の現在位置を表示し,津波の速度を疑似体験させる避難訓練を実現している. 各システムは試作段階ではあるが,防災教育の現場(特に学校や防災啓発施設)に試験的に導入し,アンケート結果などから防災教育システムとしての有効性を確認できた.また,課題や改善点については適宜対応しており,例えば,マーカレス型ARライブラリの導入による汎用性の向上,簡易的津波シミュレーションのオーサリング機能やデジタルマップ上での避難経路表示機能なども実装した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は開発期に充てており,3つのシステムを試作できたことから,研究は概ね順調に進展している.また,ジャーナル論文2件(うち1件は印刷中),国際会議論文1件(印刷中),国内会議論文4件があり,研究成果も順調に発表できている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は実践期に充てている.3つの試作システムを拡充させながら,システムを活用した防災教育実践に積極的に取り組んでいく.特に,南海トラフ巨大地震の甚大な被害が予想される徳島県南部沿岸地域において,津波避難訓練を実施し,避難訓練データの分析とその結果に基づくシステムの機能拡張や避難訓練モデルの構築に注力する. スマートグラスについては,普及モデルの流通が遅れていることに加え,移動しながら情報を閲覧するという利用方法に対して危険性が指摘されており,利用デバイスの見直しや防災教育実践地域の絞り込みを検討している.
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Causes of Carryover |
平成27年度に発表を予定していた国際会議に参加できなかったことと,当初の計画で購入予定であったスマートグラスの販売が中止になったことにより,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に開催される国際会議発表の渡航費用に使用するとともに,当初予定していたものとは異なるスマートグラスを購入するために使用する.
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