2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のモバイル端末操作に及ぼす認知負荷とワーキングメモリ容量個人差の影響
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15K01033
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
大塚 一徳 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (70259688)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / 高齢者 / モバイルラーニング / タッチインタフェース / 認知負荷 / 個人差 / 共分散構造分析 / モバイル端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
モバイル端末は、高齢者にとって生涯学習のツールとして、また加齢に伴う認知機能の衰えを補償する有効なツールとしての可能性を持ったICT機器である。本研究は、高齢者のワーキングメモリ容量個人差がこのようなモバイル端末操作に及ぼす影響について検討し、高齢者用モバイルラーニングシステムの開発と運用において認知負荷を考慮したシステムとするための知見を得ることを目的としている。 本年度は、2015・16年度までに収集した実験データの分析結果を、国際学会で発表し、英語論文として投稿し、英文ジャーナル(Educational Technology Research誌)に掲載された。また、引き続き高齢実験参加者の募集を行った。本年度までに収集したデータの分析結果から、高齢者のワーキングメモリ容量個人差がモバイル端末操作に影響を及ぼし、その影響は端末の操作方法(マウス、タッチ、タッチペン)によっても異なることを示唆するデータが得られた。 ワーキングメモリには、処理成分や保持成分といった機能を分離できることが潜在変数分析よって明らかになっている。このようなワーキングメモリの機能成分の中で、ワーキングメモリの処理成分が高齢者のタッチインタフェースの操作に影響力を持つことが共分散構造分析によってあきらかになった。 このような本研究における分析を通して、高齢者のワーキングメモリ個人差という内的要因を考慮したタッチインタフェースはどのようなものであるのかについて、認知負荷を考慮した実証的な知見を与えることができると思われる。次年度は、さらに詳細にワーキングメモリの構成要素とモバイル端末操作について分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、実験参加者の確保と実験の実施、分析、学会での発表を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、差異心理学的な手法により高齢者の認知能力やワーキングメモリを測定し、実験心理学的な手法により高齢者の端末の操作方法のデータを取得する。取得データを共分散構造分析によって分析を進める。そのためには数百名の高齢者実験参加者を集めることが必要であるため引き続き実験参加者の募集を行い、実験を継続する。十分なデータを収集後、上記統計分析手法等を用いて高齢者のワーキングメモリ容量個人差がモバイル端末操作に及ぼす影響について詳細な分析を実施予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた実験において、謝金金額が予想より下回ったため次年度繰越しとした。
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