2015 Fiscal Year Research-status Report
タブレット端末特性を反映したインストラクショナルデザインとその有効性に関する研究
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15K01034
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Research Institution | Information and Research Center for Learning |
Principal Investigator |
赤堀 侃司 公益財団法人学習ソフトウェア情報研究センター, 研究開発部, 主幹研究員 (80143626)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 授業デザイン / メディア特性 / タブレット端末 / 学習指導案 / 活動ユニット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、タブレット端末を導入した授業設計の基本的な構成要素を整理・類型化して、本研究で提案する活動ユニットの流れで表現する、具体的な指導案を創出することを目的とする。実践に有効な指導案として機能するために、本年度は以下の手順で研究を遂行した。 ① 授業の流れの整理・類型化:インストラクショナルデザインでは、ガニエの9 事象などが有名であるが、実践の場面では多様な授業の流れが見受けられる。本研究で提案する活動ユニットの組み合わせによって、その多様な授業の流れを表現するために、これまで実践されてきた授業の指導案を分析し、これらを活動ユニットの組み合わせに変換する。その結果、共通的な活動ユニットを抽出した。 ② タブレット端末の認知的な学習効果の整理・類型化:筆者らは、実験室における基礎的研究、企業の支援による実証実験などを実施してきた。これらの知見をまとめ、さらに諸外国を含めた研究文献などを調査分析し、タブレット端末の機能と学習効果の関連を整理し、類型化した。 ③ 教材・学習アプリの整理・類型化:実践などで用いられてきた教材や学習アプリを調査・分析し整理して類型化した。 ④ 以上①~③で示されたタブレット端末と学習効果の基本的な情報や知見を、活動ユニットにおける「意図・ねらい」として、活用できるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.フューチャースクールの実践報告、タブレット端末を用いた研究授業を実施した東京都墨田区の第一寺島小学校、茨城県つくば市春日義務教育学校、富山市芝園小中学校などを、訪問調査し、授業参観して、その特徴を分析してまとめた。その結果、いくつかのレベルに分類して、その特徴を明らかにした。 すなわち、①教師が教材提示する場面、②教師と子どもが対話する場面、③子どもが表現する場面、④子ども同士が対話する場面に分類して、それぞれの場面における、メディア特性、活動ユニット、目標などを抽出して、まとめることができた。 2.埼玉県立総合教育センターと協力して、県内の中学校・高等学校と協同研究した。その主な目的は、タブレット端末を用いた反転学習・反転授業の実践を通して、その成果と課題を抽出することである。1年間の実践の結果、興味深い知見が得られた。 3.墨田区の第一寺島第小学校との共同研究によって、タブレット端末の特性と授業デザインの関係を分析できた。 4.いくつかのツールを用いてタブレット教材を開発して、単行本としてまとめ出版した。(赤堀侃司(著)タブレット教材の作り方とクラス内反転学習、ジャムハウス、2015年8月)
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、次の4点を挙げる。 1.実験協力校との共同研究の推進:埼玉県立総合教育センターとの共同研究を、平成28年度も継続する。特に、自宅での動画を事前に視聴して、その後の学校での授業における学習効果を検証する。実践と協議によって、成果と課題を抽出する。 2.効果的な動画制作:動画制作において、どのような制作方法が有効かを、実証研究する。すなわち、動画作成ツール、カメラアングル、教材の提示方法などを変化させて、適切な動画撮影条件を明らかにする。 3.タブレット端末を用いた授業デザイン:平成27年度の継続研究として、タブレット教材を用いた授業指導案を分析し、活動ユニットの抽出と授業デザインの方法をまとめる。 4.成果の告知:以上を、単行本として出版する。
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Causes of Carryover |
シンガポールでの国際会議に参加したが、1泊を飛行機にしたために費用が浮いたことが、主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度にも、海外の国際会議に参加予定であるので、その費用として充当したい。
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Research Products
(3 results)