2016 Fiscal Year Research-status Report
医学生を対象とした効率的な内視鏡外科手術手技トレーニングプログラムの開発
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15K01038
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
野村 務 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60287737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 教授 (00238552)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内視鏡外科 / 医学生 / シミュレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は医学生を対象とした効率的な内視鏡外科手術手技トレーニングプログラムを開発することであり具体的な教育効果としては 1.医学生の内視鏡外科手技の習熟 2.医学生の外科手術に対する興味やモチベーションの増加を短期間で達成することが可能なプログラムを確立し、本学5年生の臨床実習カリキュラムに取り入れるのが目標である。当該年度に実施した研究の成果は以下の通りである。①実習前のアンケート結果と学生の手技の習熟度、内視鏡外科に対するモチベーションの有無の評価はこれまで通り継続して行った。これまで蓄積したデータに当該年度の研究結果を合わせて解析したところ、手技に習熟した学生の特性としてこれまでと同様な結果に加えて、世代が新しい学生ほど手技が習熟していることが認められた。②モチベーションを上げて自発的に効果的なトレーニングをする方策としては、より難易度の高い課題を与えること、具体的には胆嚢モデルの履修をさせるとトレーニングに対するモチベーションが高くなった。また学生は同じグループの学生にモチベーションおよび習熟のスピードいずれにおいても影響されるという結果も得たため、グループ分けが非常に重要であることが考えられた。 これらの成果をSurgical Endoscopy 誌に投稿、現在reviseの段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を以下に記す。 ①トレーニングに用いるsimulator、taskの中でより教育効果の高いものを抽出する。②医学生用の内視鏡外科手技の教材を作成する。③指導者のレベル向上の方策を検討する。④開発されたプログラムが本学の臨床実習カリキュラムに取り入れ得るものかを検証する。①に関して:各グループのモチベーション、トレーニングの進捗状況に応じてより難易度が高いタスクを進めていくプログラムが推奨されることが確認された。具体的には初回実習で履修させるビーズ玉の移動のタスクから始まり、virtual reality simulator(VRS)のタスクを行わせ、さらに胆嚢モデルを用いた難度の高いタスクまで進めていくことが手技・モチベーションを向上させる上で最も教育効果が高いと考えられる。とくに胆嚢モデルはコストが高いことを学生は理解しているため、手技の向上以外にそれをやらせてもらえるという事自体が学生のモチベーションを高めていた。②に関して:実際に履修する前に動画を学生に見せている。これを中心にしたテキストを作成中である。③に関して:屋根瓦方式での指導者となるべき若手医師の確保が十分ではない。外科志望者の減少やそれに伴う勤務時間の増加などにより、あまりに多忙であるのが原因である。対策としては一時的に臨床を離れて時間的余裕のある大学院生を中心に指導できる体制を構築し、そのレベルの向上を模索していきたい。④に関して:最終年度に結論を出すことを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も本年度と同様に研究を継続していく予定であり、計画を修正する必要はないと考える。次年度使用額が生じた理由としては物品として購入する「胆嚢モデル」の在庫不足となったためであり、これは在庫が戻り次第購入する予定である。今年度は早めに必要量を発注する予定である。また本研究の目的のうちまだ進捗が十分ではない以下についての方策を述べる。 ②医学生用の内視鏡外科手技の教材を作成する: 現時点ではほぼたたき台が出来上がっているので最終年度はこれを実際に使用して手技・モチベーションの向上につながるかを検討する。 ③指導者のレベル向上の方策を検討する: 時間的余裕のある若手医師(大学院生など)を対象に積極的に学生指導にあたらせ、指導者のモチベーションも上げさせる。
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Causes of Carryover |
前年度からの繰り越し予算が386700円あり、これは胆嚢モデルの在庫が少ないことが理由であった。当年度は589000円とほぼ予定通りの予算を執行できたが、前年度の未使用分の一部が次年度繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
胆嚢モデルの発注を早めに行い、学生のトレーニングを行わせるとともに最終年度としての研究のとりまとめのための予算を執行する予定である。
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