2015 Fiscal Year Research-status Report
理学・作業療法士の臨床実習における学生支援のためのeポートフォリオの開発と検証
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15K01042
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
永井 将太 金城大学, 保健医療学部, 准教授 (30387675)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 理学療法士 / 作業療法士 / eポートフォリオ / 臨床実習 |
Outline of Annual Research Achievements |
理学・作業療法士養成校数は,他に類をみない状況で激増している.この激増は,志望学生の質的低下をもたらすのみでなく,理学・作業療法士養成課程で重要な役割を担う臨床実習(学外実習)指導者の若年化や教育経験の未熟さをもたらし,「臨床家を育てる上で最も重要な臨床実習であるにもかかわらず,質が低下した学生を経験が少ない学外指導者が指導する」といった問題をもたらしている.本研究では,学生の学修到達度の向上,社会に求められる人材育成を目的に,複数臨床実習施設での指導内容の一貫性の構築や臨床実習における大学教員による若年指導者への介入,学外での臨床実習における学生のストレスの緩和などを図るため ,eポートフォリオとその運用ネットワークシステムの開発と検証を実施する.初年度である今年度は学内教育と臨床実習(学外実習)の問題点の整理および新しいeポートフォリオとその運用システムの開発が最重要課題である.今年度はeポートフォリオは臨床実習用ポートフォリオの作成を中心に行った. 運用システムの概要:現在の臨床実習における学生,教員,臨床実習指導者におけるコミュニケーションの問題がある.最も本質的問題は,学内と学外という物理的な距離,およびリアルタイムな問題収集の困難さに集約できる.そのため本研究課題では,eポートフォリオをネットワーク上で運用することで,教員―学生―臨床実習指導者との間での情報交換はもちろん,これまではほとんど不可能であった臨床実習指導者間の情報交換が可能となる.すなわち,eポートフォリオを軸に仮想キャンパスとして関係者が学生を支援できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度はeポートフォリオのシステムの試作を行った.実際の運用は平成28年度以降を予定している.eポートフォリオは,「Evernote」で作成する.作成したeポートフォリオはインターネット上での運用を考えている.学生は各々タブレット端末から,eポートフォリオにアクセスする.教員や臨床実習指導者は各自のPCからもアクセアス可能とするが,学生からタブレット端末を手渡しでやりとりする方法も想定している.臨床実習用ポートフォリオは以下のものを基幹情報とする. 1)デイリーノート:臨床実習指導者と学生が毎日交換するノート.2)症例レポート:実習期間中に担当した症例の検査結果,治療方法とその結果などをまとめたレポート.3)臨床実習到達度:臨床実習に対する学生と臨床実習指導者による到達度評価.4)大学―施設間連絡票,施設間連絡票:大学と施設間の連絡や実習施設同士での申し送りに使われる. 現在は大学の講義でアクティブラーニングを導入し,その一環として学内ポートフォリオの基幹情報である自己到達度評価票を試験的に導入している.臨床実習ポーフォリオの基幹情報であるデイリーノート,症例レポートは紙面上では運用できている.このように紙媒体レベルではいくつかの基幹情報の準備ができている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に作成したシステムを平成28年度より運用を開始する.具体的には,本システムへの参加について同意の得られた大学2年生(30人)に対し,学内ポートフォリオの使用を開始するため,タブレットの貸し出しおよびeポートフォリへの入力を開始する.また,同時にコントロール群としてeポートフォリオを使用しない群(30人)も選択し,必要な基本情報の収集を行う. 平成29年度に研究に参加した大学3年生(平成28年度参加当時は2年生)を対象に,翌30年度には同様に4年生を対象に,臨床実習場面で実際に本システムを利用し,その使用感を精緻化していく.すなわち,本研究は大学2年生から対象にした学生を,3年生,4年生と経時的に追跡しながらデータ収集を行う研究デザインである.4年生時の臨床実習が終了した時点でeポートフォリオに関する使用感や利便性,有用性に関するアンケート調査を,学生と臨床実習指導者に実施し,eポートフォリオを使用しなかったコントロール群も合わせてアンケートを実施する. 平成31年度は得られたデータの解析と結果の検証,さらなるeポートフォリオの精緻化に努める.
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Causes of Carryover |
予定購入価格よりも価格が安くなり,その分残金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越し,必要な消耗備品等に使用する予定である.
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