2016 Fiscal Year Research-status Report
脳科学と学習プロセスからみた効果的英語リーディング学習と指導
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15K01043
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
大石 晴美 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (50387479)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英語教育 / リーディング / 読解プロセス / リーディング指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、英語のリーディング学習法の一つである多読(Extensive Reading; 以下ER ;Krashen, 1984, 2004; Mason & Krashen, 1997)において、学習者自らが関心のある読み物を選択し多量に読むことが、英語読解力、脳活性状態、読解プロセスの面からどのように効果的であるかを検証し、さらに、学習者にとって効果的学習法や教授法を考案することであった。そのため、平成27年度は、日本人大学生を対象に、3ケ月間の多読前後で、読解力、脳活性状態、読解プロセス、視線行動データを採取した。平成28年度は、3ヶ月間の多読に加え、ストラテジー指導を行い、前後で読解力、読解プロセス、視線行動の変化を調査した。現在これらの結果を分析中である。最終年度は、分析結果にもとづき、より詳細なデータを学習者を限定して読解力、脳活性状態、読解プロセス、視線行動を調査する。それらの結果にもとづきER 学習効果の客観的検証(脳科学的、行動学的検証)を検討し、学習者の意識的学習に加え、無意識下の学習状況を明らかにし、自らの学びを促進する教授法開発につなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、ER 学習をする実験群とER 学習をしない統制群に分けて、読解力、読解速度、および、読解過程中のストラテジーを調査した。平成28年度は、多読に加えて、学習ストラテジーを指導し、その変化を語彙および内容に関する理解度テスト、読解速度、同時に、読解プロセスおよびストラテジー使用状況の解明のため視線行動を調査した。さらに、アンケートとインタビューデータの分析結果から量的及び質的にデータ収集を行った。結果として、多読およびストラテジー指導をすることによって、学習者の語彙理解に対する意識が変化し、読解力、読解速度が向上した結果を得た。視線行動からは、多読、ストラテジー指導が、読みの自動化につながる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、読解過程中のストラテジー使用に注目する。調査範囲をひろげ第一言語である日本語と第二言語である英語で書かれた文を読むときのストラテジーについて、共通点、相違点を調査することとする。さらに、英語の母語話者と英語学習者、日本語の母語話者と日本語学習者を対象に検討することも考慮に入れる。
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Causes of Carryover |
平成28年度には、学習者自身が多読により読解ストラテジーを修得する可能性があることが明らかになった。当初、光トポグラフィ(@100万x2)を2回、視線計測装置を2回レンタルする予定であったが、より多くのデータを取得して検討するために、2週間のレンタルをせず、現在所有している2ちゃんねる光トポグラフィおよび視線計測装置を用いて、前頭の活性度と視線行動を計測した。平成29年度は、脳活性状態の計測において、平成28年度多読とストラテジー指導を実施した学習者を対象に、課題遂行時の左脳を計測する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、上記で記した通りの実験をするため、脳機能計測装置をレンタル(@100万x2)する。また、実験参加者を増やし、データ分析補助を依頼する(謝金@8万)データ分析用パソコン(@23万)およびパソコン周辺機器(@14,115)を購入し、成果発表をする(旅費@15万)、研究終了後に成果報告書(@3万)を作成する。
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