2015 Fiscal Year Research-status Report
能動的学習で引き出される「学生の眼差し」に基づく「質保証のための評価指標」の開発
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15K01054
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
辻 高明 秋田大学, 評価センター, 准教授 (00454603)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 学生参加型質保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,1. 秋田大学の教養基礎教育科目「大学の明日をみんなで創るA・B」及び,2. 京都大学の大学院科目「戦略的コミュニケーションセミナー」において,受講生を対象に能動的学習(アクティブラーニング)を実践し,現在の大学教育の課題や改善点に対する「学生の深いまなざし」を析出・蓄積した.具体的に,1.では,(1)『話し合い』:中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の一体的改革について」を題材に,学生に現行の大学入試制度の問題点や新しい大学入試制度の課題点を考えさせ,グループで話し合い発表する実践を2回実施,(2)『ディベート』:教育再生実行会議第7次提言「これからの時代に求められる資質・能力と,それを培う教育,教師の在り方について」を題材に,学生に現在の大学でアクティブラーニングを推進していく上での問題点,解決策について考えさせ,グループ間で討論する実践を2回実施,(3)『ネゴシエーション』:教育再生実行会議第3次提言「これからの大学教育等の在り方について」を題材に,学生に現在の大学教育の問題点,原因,解決策について考えさせ,グループ間で交渉をする実践を2回実施した.また,2.では,(4)『話し合いとネゴシエーション』:文部科学省大学改革実行プラン「社会の変革のエンジンとなる大学づくり」を題材に,学生に現在の大学・大学院教育の問題点,原因,解決策について考えさせ,グループ内で話し合い,グループ間で交渉をする実践を1回実施した.それら実践やデータ収集を通して,国の答申や提言を題材として活用することで,学生は大学教育の現状や動向を俯瞰的に考えられるようになること,また,アクティブラーニングにより,アンケートや聞き取りからは見えてこない,学生の大学教育への深い視点や意見を引き出すことができるとの証左を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学入試(現制度,新制度),高大接続,アクティブラーニング,グローバル化への対応,ガバナンス改革,研究力強化といった現在の大学・大学院教育が抱える重要検討課題を題材とし,話し合い,発表,ディベート,ネゴシエーションなどのアクティブラーニングの連続実践により,学生の深い視点や意見を掘り起こし,それらをデータとして集積することができた.平成27年度の計画を順調に達成したといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成27年度におけるアクティブラーニングの連続実践で得られた「学生のまなざし(学生の視点や意見)」をボトムアップ的に分析することで,大学の質保証のための評価指標を作成する.具体的には,収集したデータから頻出する事項をグルーピングし,「学生の授業の評価視点」や「学生が考える大学教育で調査すべき事項」を特定する.必要に応じて,平成28年度におけるアクティブラーニングの実践からもデータを補完することで,学生版授業評価アンケートや学生版IRリサーチクエスチョンといった成果物の開発に向けて準備したい.
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Causes of Carryover |
海外の国際会議での発表を予定していたが,成果のまとまり具合を考えて次年度に延期したため.また,データの整理やテープ起こしを外注する予定であったが,研究者本人で行える範囲の量であったため敢えて外注はしなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内での学会発表,海外の国際会議で研究成果の発表を行うため,旅費を使用する予定である.また,膨大なデータの分析が必要となる次年度は,データの整理やテープ起こしなど研究補助のための謝金を支出する予定である.
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