2016 Fiscal Year Research-status Report
チャンク情報を考慮した例示型英文書作成支援Webアプリケーションの開発
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15K01064
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学部, 准教授 (00308701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 由紀江 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (20293251)
田中 省作 立命館大学, 文学部, 教授 (00325549)
長谷川 由美 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (40585220)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | e-ラーニング / 外国語教育 / コーパス / 技術文書ライティング / チャンク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,技術系の人間に必要不可欠な,英語による技術文書作成を支援するアプリケーションを開発することである.具体的には,ユーザが英文を入力すると,技術論文を集めたコーパス(電子化大規模用例集)の中から類似した文を抽出し例文として提示し,必要に応じてその例文を簡略化して表示する.また,ユーザの学習履歴から英語修得レベルを推測し,提供する例文をアダプティブに変化させるパーソナライゼーションの仕組みを持たせる.以上のような実用性の高い英文書作成支援システムをWeb上に公開し,常に利用可能な環境を提供することで,理系学部の学生対象の英語教育に資することも本研究の副次的目的である. 2年目に当たる平成28年度は初年度に詳細に行ったWebアプリケーションの全体の枠組みに沿って実装を進めた.現時点でアプリケーション(言語)が動作しており,さらなる追加コンポーネントを制作した.コーパスには,名古屋工業大学の研究グループによって編纂されたコーパスの使用許可をすでに得ており,総計で既に30万文を超えている(Association for Computational Linguistics, Nature, Scientific American, Biology系のテキストで構成される)が,実用性を考え,また過去の研究成果からも学習者の研究分野に近い分野のコーパスが他のコーパスに比べ有用であることを踏まえ,さらなるコーパスデータの拡充を策定した.具体的には,米国内で利用されている高校物理の教科書コーパスを導入する準備をしている.さらにインタフェースの改良を加え,もともと2つの機能だった「類似文検索機能」ならびに「フレーズ検索機能」を一手に引き受けるWebアプリケーションを現在開発中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた,初年度に詳細に行ったWebアプリケーションの全体の枠組みに沿って実装を進めることができたこと,現存するコーパスに加え,さらなるコーパスデータの拡充を策定したこと,さらにインタフェースの改良を加え,もともと2つの機能だった「類似文検索機能」ならびに「フレーズ検索機能」を一手に引き受けるWebアプリケーションを開発し発展形を模索していること,が主な理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は主に実験およびその結果分析に傾注し,得られたデータの適切な統計的な処理とその考察を最重要課題に置く.第一に日本人学習者を対象とした実験である.日本人は母語という意味でも,また日常使用する語彙という観点からしても英文技術文書というのは不慣れ(非ネイティブ)な被験者集団である.特に技術文書を作成することが要求される工業系大学での実施は欠かせないが,既に名古屋工業大学そして近畿大学(生物理工学部)での実験実施の内諾を得ている.また,情報系の大学(学部)として静岡大学情報学部・情報学研究科での実験も予定している.さらに,本Webアプリケーションは,万人に公開・使用されることを想定しているため,英語母語話者(だが,技術文書には精通していない)への実験も執り行う考えである.英語母語話者,非英語母語話者向けの2種類の実験を行うことで,母語の違いによる本システムの学習効果が明らかになる可能性があり,システムの再調整のヒントとなる.多様な実験データが見込まれるが,複雑な統計手法に訴える際には日常的に指導を仰いでいる統計数理研究所 前田忠彦准教授にも協力頂く所存である.また,本システムの評価における比較対象として,Googleなどのサーチエンジンによる英作文支援がある.サーチエンジンによる英作文支援は,先行研究でも比較対象としてよく挙げられており,また現実的にもその精度,計算速度などを相対評価するのに適している.同様に,昨年度改良を加えた2機能「類似文検索機能」ならびに「フレーズ検索機能」の統合インタフェースの評価についても実験を行う.
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Causes of Carryover |
次の理由で残額が生じてしまったため ・研究分担者が専攻役職を担当したこと,研究支援に関する人件費について他課題の支援員による重複の削減等の効率化が主たる理由である.(田中) ・平成28年度年末と平成29年度初めにかけて学会(HALT,開催地ハワイ州)に参加した.その学会旅費にかかる費用が残額の21万7570円以上になるので平成29年度に繰り越して支払う予定である.その分の予算が残額として残っている.(長谷川)
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次の使用計画を立てている. ・校務の関係で見送った学会参加等に活用したり,実験データの作成・評価の人件費にあてる.(田中) ・すでにHALT参加のための旅費として計上されているので,前年度分の繰り越し分は有効に使用できているはずである.(長谷川)
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