2016 Fiscal Year Research-status Report
教科共通の問題解決の枠組みを基盤とした各教科における情報モラル教育指導法の確立
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15K01087
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
玉田 和恵 江戸川大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20299902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 稔樹 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (60173845)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報モラル / 問題解決力 / 教科教育 / 道徳教育 / 教師教育 / 授業設計法 / 支援教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究グループは、まず、道徳教育の枠組みを活用した「3種の知識」による情報モラル判断の指導法を確立し、教師の指導力向上に効果があることを確認した(玉田・松田2009)。さらに、教科教育との連携を図る準備として、問題解決力育成のための「情報的な見方・考え方」と統合した指導法を開発した(Matsudaら2012)。以上をふまえ、本研究では、各教科・科目の学びと情報モラル教育との統合を図る教科教育のための授業設計の枠組みを確立し、それを活用して授業実施できる教師を育成する教師教 育の手法を確立することを目的に研究を進めている。 児童・生徒が情報モラル判断を必要とする事象は、主体的に活動している場面で典型的に生じるため、各教科から学習者中心の学習活動を行うことが想定される場面を抽出し、本指導法での授業設計法や支援教材の設計原理を確立する。 今年度の研究実績は、(1) 各学校段階・各教科のねらいを検討し、各教科から、学習者中心の学習活動を行うことが想定される場面を抽出した。(2) 教科によって、活用させるべき見方・考え方や覚えるべき領域固有知識など問題解決のどこを強調すべきかということを明らかにした上で、問題解決のフレームワークを適用して教材を開発し、その効果を検証している。(3) 本指導法のフレームワークを活用した授業の設計法や支援教材の設計原理を確立し、各学校段階、各教科での指導案や教材例を体系的に作成している。(4) 各都道府県の教育委員会での現職教員研修及び大学での教員養成課程において、(3)で開発した教材及び授業の設計原理を用いて教員研修を行い、各教科・科目の学びと情報モラル教育との統合を図る教科教育が実施できるようになるかどうかを検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究内容として予定していた、以下の4事項が概ね遂行できているため概ね順調に進展していると考えられる。 (1) 各学校段階・各教科のねらいを検討し、各教科から、学習者中心の学習活動を行うことが想定される場面を抽出した。(2) 教科によって、活用させるべき見方・考え方や覚えるべき領域固有知識など問題解決のどこを強調すべきかということを明らかにした上で、問題解決のフレームワークを適用して教材を開発し、その効果を検証している。(3) 本指導法のフレームワークを活用した授業の設計法や支援教材の設計原理を確立し、各学校段階、各教科での指導案や教材例を体系的に作成している。(4) 各都道府県の教育委員会での現職教員研修及び大学での教員養成課程において、(3)で開発した教材及び授業の設計原理を用いて教員研修を行い、各教科・科目の学びと情報モラル教育との統合を図る教科教育が実施できるようになるかどうかを検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、指導案・教材を用いた研修を行い、模擬授業とアンケートで指導力向上への効 果を検証する。さらに、成果を教員研修支援システムとしてe-learning 教材化し、ログに基づいて効果検証と指導法の改善を図る仕組を検討する。 以下の手順で今後の研究を推進する予定である。(5) 各都道府県の教育委員会が実施する現職教員研修及び大学での教員養成課程における研修で収集した以下のデータを分析し、教師の意識や知識の状況の違いによって、研修を通した働きかけに効果の違いが見られるかを分析し、モデルの改善や精緻化を図る。(6) 各学校段階の教師数名を対象に、本指導法による授業設計の指導を行う。その上で継続的な授業実践を依頼し、本指導法の枠組みを活用した指導案や教材の共同開発を行う。それらの活動を通して、教師の特性(教師としての発達段階等)と実施上克服すべき課題との関係をモデル化し、範例としての授業・教材例をうまく転用する視点や、それらを活用するのに必要な教師としての資質を高める方策について検討する。(7) 上記(5)~(6)を基に、各都道府県の教育委員会が実施する現職教員研修及び大学の教員養成課程で指導を行い、各教科・科目の学びと情報モラル教育との統合を図った教科教育の実践を可能にする教師教育の手法を評価・改善する。(8) 上記(1)~(7)を基に、教員研修支援システムを開発し、e-learning 教材化し広く普及を図る。
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Causes of Carryover |
中間経過について12月の日本教育工学会研究会において発表を予定していたが、授業の関係で日程調整ができず、当該旅費についての残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、経過についての学会発表を1回多く実施する予定である。
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Research Products
(16 results)