2015 Fiscal Year Research-status Report
ポストMOOCに対応したシステム減災のための大学間インタークラウドの構築
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15K01105
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
戸川 聡 四国大学, 情報処理教育センター, 准教授 (20399166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金西 計英 徳島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80204577)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大学間インタークラウド / 教育支援システムの減災 / 危機管理 / システム仮想化 / 分散システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,大学間インタークラウドによる教育支援システムの減災フレームワーク確立を目指している.特に,組織特化型MOOC環境とも言えるSPOC(Small Private Online Course)環境を主たる対象としたシステム減災フレームワークの確立を目的としている.2011年に発生した東日本大震災はもとより2016年熊本地震の発生など,大規模かつ長期に渡る被災の影響に対し,SPOCを含む教育支援システムの減災は重要な課題である.また,大規模災害は地震や津波のみではない.2014年8月豪雨による広島市土砂災害や,2015年9月関東東北豪雨での鬼怒川決壊による茨城県常総市の大規模洪水においても,激甚災害指定となる災害が発生している.その種類を問わず,大規模災害は我々の想像以上の頻度で発生していると言える.これらの状況を見据え,我々は,教育支援システムの減災フレームワーク構築を行ってきた. 本年度は計画一年目として,特にSPOC構築環境の調査を行った.Open edXやOpenMoocなど,オープンソースベースとプライベートクラウド構築基盤によるSPOC構築,運用環境の現状調査を行った.加えてクラウド基盤として,商用パブリッククラウドにより構築された環境も対象とし,これらのクラウド基盤による教育支援システム減災機構の基本設計を行った.また,仮想マシンのライブマイグレーション宛先の選択アルゴリズムにつき検討し,プロトタイプシステムによる検証と問題点の洗い出しを行った. 今後,設計した減災フレームワークに対し,明らかとなった問題点に対する解決方法を検討しシステム設計にフィードバックする.これにより,提案する減災フレームワークとプロトタイプシステムの熟成を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画として示した「データベース分散機構設計」につき,NoSQL型分散データベースの特徴を生かしたデータ分散機構を設計した.また,組織間インタークラウドにおける分散共有ストレージ稼働も,特に目立った問題もなく設計どおり機能していることが確認できている.また,計画進行において見いだされた課題であるライブマイグレーション宛先の選択問題につき,ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)と気象情報APIを活用した,宛先選択アルゴリズムを提案している.これまで設計,拡張してきたこれらの成果により,我々が目指す減災フレームワーク構築に向け,一定の知見を得ることが出来ている.これらの成果は国際会議4件,国内発表2件として報告済みであり,成果発表の観点でも一定の成果を残していると言える. 一方,SPOC環境に適応したシステム減災機構の設計という観点において,現在も継続して最適な設計を模索している段階である.このため,今後主流となるSPOC構築環境について,引き続き十分な現状分析が必要と思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
達成度における自己点検評価で示したとおり,SPOC環境を対象としたシステム減災機構の設計のため,現状のシステム構築環境におけるサーベイを行う.この上で,現在構築しているシステム減災フレームワークの最適化を試みる.加えて,平成28年度の当初計画として示した,仮想マシン,ベアメタルマシンの再配置機構を設計,実装する.これに関するプロトタイプシステムを実装し,評価実験に取り組む予定である. また,システム仮想化機構として,従来型ハイパーバイザーによる実装方法だけではなく,コンテナ基盤ハイパーバイザーも選択肢として検討できる状況となってきた.これらの機構適用も併せて検討し,システム減災フレームワークの洗練に取り組む.
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Causes of Carryover |
プロトタイプシステム構築に用いる物品調達において,システム再設計により調達物品の見直しを行ったため,当初計画より使用額が一時的に減少することとなった.また,物品の価格変動も,年度における使用額減少の要因となった.旅費,その他の経費においても,航空運賃の変動や,為替レート変動による国際会議参加費の円換算参加費の変動により,当初予定の使用額より減少する要因となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まず,実証実験のためプロトタイプシステムにおいて,減災フレームワーク再設計により見直した物品調達に充当する.これは年度内に行ったプロトタイプ作成により,調達物品の見通しがついており,使用計画実施に支障はない.また,既に国際会議等において採択された成果発表を予定しており,このための参加費,旅費として使用する計画である.
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Research Products
(6 results)