2016 Fiscal Year Research-status Report
映像への情報ハイディング技術に基づく効果的なMOOCs利用能動学習システムの開発
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15K01109
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (20293136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 信数 東京工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (80547836)
田中 晶 東京工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (20578132)
市川 裕子 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (10290719)
松元 隆博 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (10304495)
秋山 寛子 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助教 (20756530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教材システム / 電子透かし / スペクトラム拡散系列 / MOOCs / 能動学習 / 画像特徴量 / 反転授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き,ビデオ信号に導入する電子透かし方式の改良を行なった。具体的には,静止画像向けの電子透かし方式として知られるDCT-OFDM型電子透かし方式にロバスト性の高い画像特徴量を導入することにより,同期処理等を高速化し,ビデオ信号に導入してもコマ落ちなどの問題が生じないように改良することができた。また,画像用の電子透かし方式の改良として,従来のように埋め込み情報を単に周波数領域に換算するのではなく,ホスト信号の周波数スペクトラムを埋め込み系列を用いて近似し,置き換える方法を導入し,この効果を検証した。その結果,スペクトラムが一定の条件を満たしている周波数成分だけを選択して埋め込むことにより,高い性能を得られることが判明した。 実際に本システムを導入するモデル授業科目として東京高専情報工学科5年の「符号理論」を採用し,同科目において事前予習を前提とした反転授業を実施した。事前予習用の教材は,ウェブページを通じて学生に公開し,その内容は授業概要を記したPDFファイル,あるいは板書を撮影した画像ファイルなどとした。映像データは28年度は採用せず,29年度に導入することとして,その効果を比較検証することとした。半期の授業終了後に受講学生を対象にアンケート調査を行なった結果,通常の座学の授業よりも関心を持って授業に臨んでいたこと,また,事前予習を行わなかった学生もいた反面,授業内容の習熟度は比較的高かったことが検証された。 モデル授業で使用するソフトウェアの作成は予定通りに進まなかったが,通常のウェブページやBlackboardなど既存の遠隔学習システムを有効活用することで代用できることを検討した。このため,平成29年度の前期にソフトウェアに代わるウェブシステムを学生アルバイトなどを雇用して作成し,後期の「符号理論」の授業で導入してその効果を検証することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動画を対象とした電子透かし方式の改良に成功し,実用可能なレベルを達成することができた。教材システムの作成については,ゼロから構築するのではなく,ウェブページや既存のシステムを利用することで時間的労力的なコストを削減することを検討した。当初の予定よりシステム作成は遅れているが,3ヶ月程度で作成することは可能であり,次年度の前半で作成することで目標を達成できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,まず前期のうちに教材を公開し,成績情報を管理するウェブシステムまたはBlackboardを利用したシステムを開発する。開発にあたっては,学生アルバイトなどを雇用し謝金を支払うこととする。また,前年度の研究で策定したビデオ信号用の電子透かし方式を利用して実際に動画データにマーカを埋め込み,モデル授業用のビデオ教材を作成する。 後半は,作成したシステムを利用して実際にモデル授業を運用し,その効果をアンケート調査等を通して検証する。 最終年度は,研究成果の公表等で出張が増えることが予想されることから一部の研究費を繰り越すこととした。
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Causes of Carryover |
当該年度までで策定した結果は,最終年度に各種学会,論文誌などに公表することを計画している。当初は,本研究を通して開発した教育システムに重点を置いて公表することを考慮していたが,当該年度に開発したビデオ信号向けの電子透かしシステムも新規性・有効性が認められるため,積極的に学会などで公表することを計画している。 加えて,最終年度の前半で,Blackboardなど既存の教材システムを有効活用して,本研究の目的に即した教育システムを構築することを考えているが,この作業のために,謝金等の支出が予想されるため,一定額を次年度に繰り越すこととした。特に研究分担者の秋山(長野高専)は今年度,本研究課題に関連する研究成果を発表するための旅費などを使用する必要がなかったため,全額を次年度に繰り越すこととなった。これも含めて,次年度は計画的な研究費の運用を計画する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した金額のうち,一部は教材システムを構築するための謝金として,平成29年度の前期に支出することを計画している。また,本研究テーマに関連して,教育システムに関する研究成果,電子透かし方式に関する研究成果,構築したシステムを利用した教育事例に関する研究成果などを学会や研究会,論文誌などに公表するための旅費や投稿料などとして,繰り越した金額を研究代表者または分担者が使用することを計画している。
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