2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01117
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
飯田 香穂里 総合研究大学院大学, その他の研究科, 准教授 (10589667)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、日本の遺伝学者による、放射線の遺伝的影響に関する発言(一般向け出版物)について情報収集を行った。出版物の収集の他、カリフォルニア工科大学のアーカイブズから日米の遺伝学者の間の書簡を取り寄せ、ヒューストンではインタビューや史料調査を行った。後者の調査では、元ABCC(原爆傷害調査委員会)の中心的遺伝学者であるウィリアム・シャル氏からお話を伺い、またTexas Medical CenterのアーカイブズにおいてABCC初期の時代に勤務していた遺伝学者の書簡を中心に調査した。 国内出版物の傾向から、日本の遺伝学者による放射線の遺伝的影響に関する発言頻度がかなり低いことが明らかになりつつある。そこで、日本の遺伝学者と放射線の遺伝的影響の議論(社会への発信)との関係を明らかにして行くためには、当時大きな影響力のあったABCCを含む米国側の機関や遺伝学者の動向、また、これらの人々と日本人研究者との交流を同時に調査して行く必要があると判断した。そのため、初年度より米国関連の史料調査を取り入れることとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の遺伝学者による、放射線の遺伝的影響に関する議論を分析することが目標の一つであるが、国内出版物(著作、新聞記事等)を調査した結果、発言頻度がかなり限られていたことが明らかになりつつある。当時の社会的状況を考えると、このような専門家の"沈黙"は非常に興味深い一方で、その背景に迫るためには、初年度からアメリカの遺伝学界やABCCとの関わりについて詳細に調査して行く必要性があると判断した。そのため計画を一部変更し、米国のアーカイブズで一次史料を収集し、現在も調査を継続中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究目標は変わらないが、研究の着手の順番を変更する。まず、ABCCとアメリカの史料の調査を中心的に行うこととし、次年度は、ABCCに勤めていた日本人の遺伝学者とその研究について情報を収集する予定である。ABCCとその周辺機関のアーカイブズから情報をある程度収集した上で、当初の計画通り日本の遺伝学者の動向の調査に戻る予定である。
|