2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K01123
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
北島 雄一郎 日本大学, 生産工学部, 准教授 (40582466)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子力学 / アインシュタイン / 局所性原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
Einstein, Podolsky, and Rosen (1935)は,量子力学は不完全であると主張した。しかし,アインシュタインはこの論文の議論には不満であり,Einstein (1948)において局所性原理と分離不可能性原理と現在呼ばれる原理を導入し,これらの原理に基づきEinstein, Podolsky, and Rosen (1935)とは異なる議論に基づいて量子力学は不完全であると主張した。 分離可能性原理とは,2つの空間的に離れた系はそれぞれ別々の状態をもつということを表す原理であり,局所性原理とは,ある時空領域における操作が他の空間的に離れた時空領域に影響を及ぼさないという原理である。Howard (1985)によれば,ベルの不等式は分離可能性原理と局所性原理から導かれ,ベルの不等式の破れは分離可能性原理が成り立たないことを意味していて,ベルの不等式の破れは局所性原理と両立可能である。 本年度は,代数的場の量子論において,局所性原理がどのように表すことができるかという問題を考えた。そして,ある時空領域に影響を及ぼしその時空領域と空間的に離れた時空領域には影響を及ぼさないような操作は完全正写像で表すことができることを示した。つまり,代数的場の量子論において,アインシュタインが考えた局所性原理における操作を完全正写像で表すことは正当化できる。このことによって,アインシュタインが考えていたことをより明確に表現することが可能になったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文集の編集に携わり,また,その論文集に局所性に関する英語の査読論文を執筆した。また,量子論における文脈依存性に関する日本語の査読論文も執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題は量子力学における確率であるが,今後は量子力学における論理,特に量子論における直観主義論理に目を向ける。そして,量子力学における論理構造と確率の関係を考察していくつもりである。
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Causes of Carryover |
研究に必要なパソコンや書籍の注文が遅れたため,物品費が予定より下回った。来年度は,パソコンや書籍を購入し,予定より多く物品費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)