2016 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析法に基づく「カビ臭物質」のモニタリングと文化財カビ汚染制御法の確立
Project/Area Number |
15K01132
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 孝仁 奈良女子大学, 名誉教授 (60144135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 正人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 無機機能材料研究部門, 主任研究員 (50356862)
竹内 孝江 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (80201606)
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Project Period (FY) |
2015 – 2016
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Keywords | Aspergillus fumigatus / Fusarium solani / 真菌 / MVOC / GC/MS / 増殖抑制活性 / ヘキサナール / ベンズアルデヒド |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでAspergillus fumigatusとFusarium solaniを用いて、カビが気相に放出する揮発性有機化合物(MVOC)に注目し、カビ自身の増殖抑制と異種カビ間での相互作用について研究してきた。気相中のMVOC分子はガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)によってイオン電流値として測定できた。本研究では当該の合成化合物を既知の重量濃度で揮発させ、GC/MSで平行して測定することにより、MVOCごとの検量線を作成してカビから放出されるMVOCの重量濃度を培養経過を追って明らかにした。 F. solaniが放出する自己および他種の増殖抑制活性をもったヘキサナールは、培養中期(菌糸が枝分かれして気中菌糸の先に分生子形成の始まる時期)から培養後期(分生子の成熟と気相への拡散が始まる時期)にかけて0.1~0.2mg/Lになるまで放出されること、他種であるA. fumigatusの増殖抑制作用(アレロパシー)を有するベンズアルデヒドは、培養後期に0.2mg/Lになるまで放出されることが分かった。A. fumigatusの培養では、自己および他種の増殖抑制活性をもったヘプタナールは培養中期から後期にかけて5mg/Lに達することも分かった。これらのアルデヒドは自己および他種のカビの培養初期(分生子の発芽と菌糸伸長開始の時期)に抑制作用を示すことも判明した。
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