2015 Fiscal Year Research-status Report
児童の理科学力と学習意欲向上に寄与する博物館・学校・地域連携モデルの開発と汎用化
Project/Area Number |
15K01156
|
Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
中野 正俊 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 特別研究員 (40443460)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 学力向上 / 学習意欲 / 理科 / 環境学習 / アクティブ・ラーニング / 博物館・地域連携 / 博物館・学校連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
滋賀県立琵琶湖博物館の博物館教員が平成18年度から同24年度までに開発してきた既存の体験学習を小学校学習指導要領(学校教育法施行規則第52条による)と照合した。また、滋賀大学教育学部附属小学校理科部が、平成22年度から平成25年度までに実践した理科学習が公立小学校の児童を対象として円滑に指導できるかどうかを精査した。特に、公立学校所属児童の理科学力、環境保全への知識・理解、そして学習意欲の向上に向けた視点で確認作業を行った。その上で、県内外の博物館や科学館の資料、標本などを活用しながら、学芸員、学校教員、地域学習サポーター3者による模擬学習にかかる学習指導案を作成した。 その結果、単なる博物館・学校・地域の3者連携ではなく、児童の思考の流れを中心に据え、理科や環境学習の単元を貫くねらいを明確にすることが、学習効果を高める可能性があることがわかった。具体的には、学校の夏季休暇中に、仮構築した学習(連携学習)を試作した。例えば、小学校の第4学年「空気の体積と力」ではパスカル原理を実感させる演示用空気鉄砲とその学習、第6学年「大地の地層と化石」では演示用断層発生装置と貸出化石標本を利用した学習など、複数を候補とし、学芸員、教員、地域学習サポーターが連携して学習を試作することができた。 ただ、こうした学習を汎用化するためには、学習指導要領に沿った内容であるかどうかが決め手であることも明らかとなった。また、オランダやスペインなどで進められるイエナ・プランは、理科や環境学習へも活用されていることから、アクティブ・ラーニングをいかに取り入れるかが重要となることもわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単なる物館・学校・地域の3者連携ではなく、児童による問題解決学習を大切にしながら、理科や環境学習の単元を貫くねらいを明確にする方向を持ったことが理由となる。また、欧州視察によって、アクティブ・ラーニングの導入が、本研究課題の進展をより深化させる鍵となることも明らかとなった。特に、地域住民のサポートは、理科や環境学習に対する児童の学習意欲を高めることもわかってきた。つまり、地域の素材を使いながら、地域のマンパワーを生かすことによって、児童の情意(内発的動機付け、学習参加意識、自己効力感など)が高まるものと考えられる。今後は、児童の主体的・協働的な学習を理科学習や環境学習にいかに取り入れていくかが、本研究課題の解決に向けた鍵となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、学校教員や地域学習サポーターを対象に指導研修を行いながら、開発した連携学習を推進する。この場合、可能な限り児童の問題解決学習を取り入れ、理科や環境学習へアクティブ・ラーニングを進めていく。また、連携学習前後の理科学力や学習意欲の変容を調査し、定量的、定性的に分析する。こうした結果を生かして、開発した学習プログラムを順次改良していく。 平成29年度は、県内外の学校や地域で学習プログラムを実践化させるため、連携学習をパッケージ化する。博物館相当施設と地域住民が参画する実践により、児童の理科学力と学習意欲がどう高まるかを調べる。その後、さらに追跡調査を続け、学力や学習意欲の向上に寄与するモデルを順次改善し、汎用化を進める。
|
Research Products
(2 results)