2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01179
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
猿渡 康文 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (00292524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 忠彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40400626)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療サービスの評価 / 情報の非対称性 / サービス品質評価 / 医療受診行動最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,需要者である生活者,供給者である医療機関,両者間の調整の役割を担う行政機関といった医療サービスを取り巻くプレイヤーの現実の行動をもとに,サービスそのものに対する課題と機能分化に対応したネットワーク化に関する課題の解決をはかることを目的としている.本研究の目的を達成するために,生活者の振る舞いの明確化(【課題1】),それを基礎とした医療圏(ネットワーク)の数理モデル化(【課題2】),医療圏内外における医療機関の連携モデル化(【課題3】),さらにそれらの統合化(【課題4】)を行う. 本年度は【課題1】に取り組んだ. 生活者の振る舞いを医療受診行動モデルとして数理的に表現するための基礎的な研究として文献調査を行った.生活者は,医療サービスに関する期待,他者からのクチコミなどの要因からなる効用関数を個々に有し,時間,距離,金銭的および心理的制約の下で,当該効用関数を最大化する受診行動を選択すると考えられる.文献調査より,サービスに対する評価特性,特に,サービス品質に関する特性を整理し,それらを専門サービスである医療サービスに拡張した. 生活者の医療受診行動は【課題2】と密接に関連するため,【課題2】を先取りし,医療機関からみた現状の医療サービスの評価と,選ばれる医療機関となるための医療サービスの高度化を志向した場合の制約条件などの整理を文献調査を中心に行った.現実を色濃く反映するために,実在する医療機関の経営を支える層に対して複数回のインタビューを行い,医療制度等,医療機関を取り巻く社会的な制約条件が複数存在していること,また,制度変更によって,医療機関の振る舞いが変化することが明らかとなった. これらを研究成果をもとに,次年度,調査を実施することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【課題1】に加えて,【課題2】も同時並行的に研究を進めている.調査については次年度実施としたが,顕在化する可能性が高かった課題が事前に把握でき,また,積極的な協力が得られる環境が構築できたことは今後の研究の推進を加速させることに繋がる.これらより,本研究はおおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
医療受診行動のモデル化に対するデータの取得が必要である.調査を早々に実施し,【課題1】の解決をはかる.調査項目等の設計は終わっているので,研究の推進に影響はない. 続いて,当初計画にしたがって,【課題2】ならびに【課題3】を実施する. 特に,問題となる部分は存在しない.
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Causes of Carryover |
医療サービスのステークホルダーである生活者や医療機関等を対象とした大規模な調査を計画し,そのための調査費を計上していた.医療制度等の外的な制約条件が変更となる時期に接していることもあり,今年度は調査を実施する適切な時期ではないと判断し,次年度実施とした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定どおり,次年度に調査を実施する.
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Research Products
(17 results)