2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 俊二 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90324657)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ブロック積み替え問題 / 厳密解法 / 分枝限定法 / 優越関係 / 下界値 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,ブロック積み替え問題のなかでも,積み替え可能なブロックに制限を設けない,無制限のブロック積み替え問題に対する研究を行った.具体的には,制限つきの問題に対して提案済である分枝限定法に基づく厳密解法を無制限の問題へ拡張した.無制限の問題に対して単純に分枝限定法を適用すると,たとえば,あるブロックを別のスタックに積み替えてすぐにもとのスタックに積み替え直す,というような無駄な積み替え系列が探索されてしまう.このような無駄な探索を抑制するため,積み替えの系列間の優越関係を導出した.ある積み替え系列が優越されるとは,その積み替え系列を,積み替え回数を増やさず別の積み替え系列に置き換え可能であることを意味する.したがって,優越される積み替え系列は最適解探索の過程で考慮する必要はなく,優越関係のテストを分枝に組み込むことで,探索範囲を大幅に狭めることができる.今年度はまず,連続する2回の積み替え系列に関する優越関係を導出し,つぎに,連続するとは限らない場合へと拡張した.これらはブロックの取り出し優先順位に重複のない問題に対する結果であったため,優先順位に重複のある問題への拡張を行った.さらに,積み替え回数の下界値を計算する方法を改善した.これらの改善により,問題の規模にも依存するものの,従来の解法と比べて数倍から数十倍の高速化に成功した.また,すでに探索したブロックの配置を保存しておき,同じ配置が得られるような積み替え系列を抑制する方法についても予備的な検討を行った.その結果,配置の保存・検索に計算時間が必要であるため,求解速度に大きな向上は見られないことがわかった. 以上で述べた優越関係に関する成果に関し,国内・国際会議で発表を行った.なお,下界値の改善に関しては,平成28年度に発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の当初目標である,無制限のブロック積み替え問題に対する厳密解法の構成に成功している.また,従来の解法よりも高速に求解可能であることも示している.したがって,研究はおおむね順調に進捗していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画もおおむね順調に進展しているため,平成28年度以降も当初計画にしたがって研究を遂行していく.平成28年度は,ブロックの積み替え回数ではなく,ブロックをすべて取り出すのに必要な時間を最小化する問題を対象として,効率的な解法の構築をめざす.また,平成27年度の成果をまとめ,学術論文として投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
平成28年度以降に繰越した金額は433円と少額であり,ほぼ計画通りの研究費の執行が行われている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の使用計画どおり,平成28年度の研究費の主用途として,国内・国際会議発表および資料収集にかかる旅費・参加費や,プログラム作成・数値実験に用いる計算機の購入費などを予定している.
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Research Products
(3 results)