2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代生産システムに向けたICTに基づく品質マネジメントシステムの提案
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15K01191
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
有薗 育生 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20175988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹本 康彦 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (70382257)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 管理図 / 変化点抽出法 / AIC / 情報視覚化法 / 計量選別型抜取検査 / 許容期待過剰損失限界 / 計量規準型抜取検査 / 検査特性曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
製造工程の状態変化をモニタリングし,工程の異常を検知する方法として管理図が知られている.ここに,管理図が工程異常を検知したとき,異常検知時点から遡り,どの時点で,どのような原因により工程異常がもたらされたのかを究明することは,工程管理上において重要な課題である.そこで,工程異常の検知後,バラツキをもったデータの中から工程異常に至るまでの状態変化の軌跡や工程状態の変化点を抽出する状態変化追跡方法を提案した. また,製造工程の状態判定を工程平均と工程標準偏差を関連させて行う(x_bar, s)同時管理図について,より視覚的に工程状態の変化を理解しやすくさせるための情報視覚化法について考察し,その成果を発表した. 一方,不適合品率などの計数的品質評価基準に代わる計量的品質評価基準として製品品質特性値の目標品質からの乖離に基づく品質損失が存在する.品質損失を品質評価基準とした場合の品質保証のための抜取検査方式として,平均出検過剰品質損失の上限値を保証するPAOSQLL (Permissible Average Outgoing Surplus Quality Loss Limit)保証の概念のもとで平均検査量を削減するための計量選別型繰返グループ抜取検査を提案し,具体的な検査方式を効率的に決定するための検査方式決定法に関する発表を行った.また,品質損失を品質評価基準とした場合に,生産者危険と消費者危険により指定される検査特性を満足する計量規準型一回抜取検査方式の厳格な設計法と近似による設計法を比較して,近似による設計法の精度の十分性と計算量の削減効果について報告するとともに,品質損失のもとでの計量規準型Repetitive Double抜取検査を提案する発表を行った.また,品質損失に基づく計量規準型逐次抜取検査の設計法を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において,製造工程の状態変化をモニタリングする場合の数理的な状態把握法とともに,視覚的に状態変化を認識させるための方法についての研究成果が公益社団法人日本経営工学会論文誌に掲載された. また,製品品質を保証するための抜取検査法に関して,品質損失を品質評価基準とする計量規準型逐次抜取検査の提案に関する論文が経営工学分野で最も権威ある論文誌のひとつであるInternational Journal of Productions Researchに掲載された. くわえて,工程平均と工程標準偏差を関連させて工程の状態を把握するための(x_bar, s)同時管理図についての工程状態判定法および時系列的に工程状態の推移を把握するための情報視覚化法について国内外の学会で報告した.さらに,計量選別型繰返グループ抜取検査,計量規準型一回抜取検査および計量規準型Repetitive Double抜取検査について考察し,これらの成果を国内外の学会で発表し,これらの学会発表成果を論文としてまとめ,いくつかの国際専門誌に投稿した. これらのことから,総合的に見て,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度に引き続き,製造工程における管理図による工程状態の数理的な評価法ならびに視覚的な認識法の開発に努める.また,高品質な製造製品の品質保証のための抜取検査において,より適用性を拡大するための効率的な検査方式について考察し,その設計法の開発に努める. これらにより得られた成果は,2015年度と同様,国内学会および国際会議で報告するとともに,国際的な専門誌に論文として投稿する.
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Causes of Carryover |
情報収集や資料収集およびプログラミングなどを研究グループメンバ内で実施したため,学生アルバイトなどの謝金が発生せず,人件費・謝金に残を生じた.また,既存計算機設備でプログラミング開発を前倒しで行ったため,予定していた計算機設備を購入しなかった.これにより,物品費に残が生じた.一方,想定よりも少し早く成果が出たため,これらの成果の学会発表,国際会議発表のための旅費,ならびにその他(国際会議参加費,論文掲載料)の支出が予定額を上回った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では,より広範な資料を収集する予定であり,このための費用がかかるものと予想される.また,収集された情報の整理およびデータベース化,さらにはコンピュータ・シミュレーションの実施などにかかる人件費・謝金がより必要になってくるものと予想している.同時に,遅れていた計算機・記憶媒体などの設備の整備・増強がより必要となる.よって,これらの経費として当該2015年度の執行残額(次年度使用額)を当てるものとする.
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Research Products
(8 results)