2017 Fiscal Year Research-status Report
大規模救急車シミュレータの開発とそれを用いた救急車の最適配置実験
Project/Area Number |
15K01193
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
稲川 敬介 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (50410759)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 救急車 / シミュレーション / 最適配置 / 都市計画・建築計画 / 政策研究 / 救命 / モデル化 / オペレーションズ・リサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画3年目の研究実施計画は,大都市における救急車のシミュレーション実験結果の分析と,その結果の発表と検証である.また,実験結果の分析と発表から得られたコメントを反映して,こまでに開発したシミュレータの検証と改修もおこなう.これらに関する具体的な取り組みと活動を以下にまとめる. 1.初年度におこなった救急データのデータ分析結果と,前年度におこなったシミュレーション実験の結果をまとめて,「マルコフモデルによる救急自動車の最適配備について」として,日本オペレーションズ・リサーチ学会 第269回「待ち行列研究部会」(2017年6月17日,東京工業大学 大岡山キャンパス)にて口頭発表した.発表後は,コメントを反映して一連の流れをまとめなおすと共に,シミュレーションコードの一部改修もおこなった. 2.また,研究計画2年目に引き続き,秋田県への適用を検討し,基礎データの作成をおこなった.作成したデータを活用して,いくつかの関連研究をおこない,東北ORセミナー2017;若手研究交流会(2017年11月25日~26日,蔵王センタープラザ)にて発表をおこなった.これらの関連研究では,今後検討すべきいくつかの課題点も見つけられた. 3.混合整数計画法を応用した共同研究をおこなった.この共同研究は,学習教材を適切な場所に配置することで学習スケジュールを作成するものであり,国際学会EUROCALL2017でのポスター発表(2017年8月24日, University of Southamptom, UK)をおこない,大学内の紀要として内容をまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,大規模な救急車シミュレータを開発する.これを用いて,人口200万人超を想定した大都市における救急車のシミュレーション実験や,消防の広域化による県1ブロック化などを想定した広範囲の救急車システムのシミュレーション実験をおこない,適切な配備方法の提案や救急システムの効率的な運用について分析する. 研究計画3年目は,大都市における救急車のシミュレーション実験の実験結果をまとめた.また,以前におこなった救急データのデータ分析結果とあわせて口頭にて発表した.ここでのコメントを反映し,これまでのデータ分析とシミュレーション実験の全体を一通りの流れとしてまとめることができた.また,関連研究も増えて,研究に広がりができたと共に,今後検討すべき課題点についても気付くことができた.この関連研究については,新たなデータも必要となることから,本来の課題に影響しない程度にペースを抑えて継続する. ただし,前年度に起こった開発環境のバージョンアップによる不具合の改修ができていないという問題点もある.コードの自動変換を試したが上手くいかず,現在,古いコンピュータでしかシミュレーションを実行できない状況なので,実験全体の計画にも遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画最終年度の方策としては,まず,前年度,口頭発表でまとめた救急データのデータ分析結果とシミュレーション実験結果の内容を論文としてまとめ,学会で発表することである.また,救急車の大規模シミュレーション実験自体と共に,一部の関連研究の論文もまとめたいと考えている. さらに,関連研究をおこなったことにより,今後検討すべき課題点も見つけられた.高齢者割合の増加と全体的な人口減少が今後の救急需要にどのような影響を与えるのかは,消防署の建設計画や救急自動車の追加配備に大きく影響する.この点については,本来の課題に影響しない程度にペースを抑えて継続的に研究をおこなう. 最後に,前年度までに終わらせたかったシミュレータの不具合についての改修を早めに終わらせる.開発環境のバージョンアップによる不具合により,一部のコンピュータでしか実行できなくなってしまったため,研究計画に遅れが生じていると共に,シミュレータの汎用性についても問題があると考えられる.自動変換ではうまく変換されなかったことと,このような仕様変更は今後も続くと思われるので,根本的に開発環境に依存しないように配慮してコード修正をおこなう.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,高速でメモリサイズの大きい計算機を購入する予定だったが,シミュレータの新しい開発環境を決められず,購入を見合わせたことである.また,それに伴って周辺機器も購入できなかった.使用計画としては,シミュレータ用の計算機と周辺機器の購入を予定している.
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