2015 Fiscal Year Research-status Report
シフト混在型勤務を考慮したナース・スケジューリングシステムの開発
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15K01197
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森澤 和子 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60220050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 直樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80199091)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 組合せ最適化 / ナース・スケジューリング / 勤務表作成 / 医療・福祉 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性的な看護師不足を背景に、日本の病院では看護師を個々の要望に応じた勤務形態で雇用するケースが増えている。様々な勤務シフトで働く看護師が同一職場内に混在することによって勤務表作成において考慮すべき条件が非常に複雑化するため、担当者(多くの場合は看護師長)はこれまで以上に勤務表作成に労力を割くことを強いられている。そこで本課題では、シフト混在型職場においても安定して質の高い看護サービスが提供でき、かつ看護師も無理なく働くことができる良好な勤務表を短い計算時間で自動生成するナース・スケジューリングシステムの開発を目的として研究を進めてきた。 初年度である平成27年度は、2交代制勤務の看護師と3交代制勤務の看護師が混在する最もシンプルなシフト混在型ナース・スケジューリング問題を対象に、各勤務形態の看護師の混在比率が勤務表作成に与える影響について検討した。 まず、このシフト混在型ナース・スケジューリング問題を整数計画問題として定式化し、2交代制/3交代制看護師の混在比率が異なる例題40問について、IPソルバー(Cplex)により最適な勤務表を求めた。その結果、総看護師数を一定とした場合、3交代制看護師の比率が少なくなればなるほど良好な勤務表の作成が困難になる傾向があることが明らかになった。 また、IPソルバーによる求解には非常に計算時間がかかる(総看護師数24名、計画期間1カ月の場合でも長い場合は約30時間)ため、シフト混在型ナース・スケジューリング問題に対するヒューリスティック解法も提案した。この解法によれば、行った数値実験の範囲では、3交代制看護師の混在比率が50%以上の場合には数秒程度で良好な勤務表を作成可能であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の課題として考えていた(1)2交代/3交代シフト混在型ナーススケジューリング問題に対するスケジューリング・ルールの策定とそれを用いたヒューリスティック解法の開発と(2)両勤務形態の看護師の混在比率が問題の難易度に与える影響の解明、の2点について、基本的な部分は達成できた。まだ検討が不十分な点は残っているが、翌年度以降の計画に大きな影響を与えるほどではないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請当初の研究計画通りに進めていく予定である。 2年目の平成28年度は、初年度の成果をふまえ、ヒューリスティック解法で用いるスケジューリング・ルールを改良したのち、看護師の勤務形態の混在パターンがより一般的で複雑な場合についても適用できるように拡張を行う。 3年目の平成29年度には、2年目の成果をふまえ、ヒューリスティック解法における最終的なアルゴリズムを確定し、インタフェイス部分も含めてナース・スケジューリングシステムを完成させたい。また、このシステムを用いて様々な条件下で勤務表作成のシミュレーション実験を行い、シフト(人材)の混在比率と提供可能な看護サービスの質の関係を明らかにすることで、適切な看護体制を維持するための人材確保戦略策定の一助となる指針を与えたいと考えている。
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Causes of Carryover |
計画提出時点で予定していた国際会議への参加を、諸事情により取りやめたことが次年度使用額が生じた最大の原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議で発表予定だった内容をJournalに投稿するべく準備を進めている。主に論文掲載料等の成果発表に関して必要となる費用に上記の次年度使用額の大部分を使用する予定である。残りについては翌年度分の助成金と合わせて、申請時に提出した翌年度(平成28年度)の経費使用計画にしたがって支出することを予定している。
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Research Products
(3 results)