2016 Fiscal Year Research-status Report
顧客の戦略的購買行動と企業の価格設定:市場の時間的セグメンテーション
Project/Area Number |
15K01203
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
増田 靖 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10286643)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経営科学 / 価格設定 / 戦略的顧客 / ゲーム論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の4つの問題で研究が進行した。 1.近年、製造企業のサービス価値創造と関連して、実績ベース契約が流行りつつある。一方、製品品質を保証する仕組みとして、ワランティ契約は古くから存在しており、経済学の分野で研究されてきた。製造企業と顧客は、必ずしも利害が一致しているわけではないが、契約の形態によって、この2者のインセンティブをより整合的にすることができる。実績ベース契約がどのような場合にワランティ契約より有効となるかを理論的・数値的に検証した。 2.戦略的顧客市場の時間的セグメンテーションによる価格設定の問題は、複数年に渡る研究である。いくつかのモデル分析を行い研究全体が複雑になっていたが、これらを統一的なモデルとして組み直して、理論の全体を見通しが良いものにした。さらに新たな数値実験を行った。 3.遅れを伴うサービスシステムにおいて、サービス優先権を顧客に配布することにより混雑制御をする方法は、複数年に渡り研究してきた。本均衡モデルが、ある条件の下では、ポテンシャル・ゲームとなることを明らかにした。結果として、本研究で提案しているモデルと、以前から研究されてきた交通流割当問題との関連も明らかになった。 4.近年戦略的な顧客に対する新聞売り子問題が議論されているが、ある一連の研究において、顧客行動の合理性が一部無視された形で分析がなされている。本研究では、顧客が合理的に行動する場合における、販売企業のコミットメントの影響の分析を進めている。 上記研究1は、本年度査読付きプロシーディングスとして発表した。研究2は、当該分野で重要な関連研究をしているYale大学教授から好意的なコメントをもらっており、現在投稿準備が進んでいる。上記研究3は、現在査読中となっており、また、2017年度に国際学会で発表予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた研究1に関しては、現在までの結果をまとめて結果を出した。 研究実績の概要で述べた研究2と3は、研究プロジェクトとしては大掛かりなもので、前者は査読中であり、後者は投稿準備がほぼ終った段階となっている。紆余曲折はあるものの実質的な研究内容は順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた研究2に関しては、近々に投稿する予定である。さらに、当該研究で用いた手法が、プラットフォームビジネスにおける価格設定の問題にも適用可能であるという見込みがある。関連研究の調査はすでにすんでおり、2017年度にモデル解析・数値的検証をする予定である。研究実績の概要で述べた研究4に関しては、研究の準備段階が終った状況であり、2017年度に入ってから本格的な研究が始まる。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも計算実験がすくなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度に国際学会で研究発表の予定である。
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