2016 Fiscal Year Research-status Report
既存不適格製品広域継続利用の適正なリスク評価と解消に必要な社会システム構築の研究
Project/Area Number |
15K01221
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Research Institution | Tobishima Research Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 季延 飛島建設株式会社技術研究所, -, 主席研究員 (20443640)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境経済 / 環境マネジメント / 環境と社会 / 合意形成 / 安全・安心 / 石綿・アスベスト / 環境影響評価 / 環境政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アスベスト製品を事例として、既存不適格となった製品の大量かつ広範囲継続利用のリスクを多角的に評価し、健康被害のリスクを最小化するために必要な社会システム構築の方策を明らかにしようとするものである。実行スケジュールとリスクを明確にして、6千万~1億トンと推定されるアスベスト製品の処理に社会全体で取り組むために必要な基礎情報・手段を提供するため、①アンケート調査、②リスクの見える化、③対象(市民、行政など)別のリスク説明手法、④アスベスト混入災害廃棄物処理方法の比較検証を研究課題として、年度別に取り組む計画である。 本年度は、前年度に策定したアスベストに係る継続教育に関するアンケート調査を実施した。実施に当たり、当初予定の800高等教育機関に約160機関を追加した。これは学部ごとにキャンパスが独立している大規模な大学等に対して、より密なアンケート調査を実施する為である。1次回収期間を経て約200機関から回答を得たが、学生数の多い主要な私立大学や地域を代表する公立大学等からの回答が得られなかったことから、回答の得られなかった約700高等教育機関に対して、中間期に再度のアンケートを実施した。その結果、追加で約130機関より回答を得た。なお再アンケート回収結果の検収が年度を超えたため、最終的なアンケートの集計分析結果の成果報告(学会発表)を次年度に予定している。 次に、潜在的アスベスト使用建物マップの作成と現地調査による作成マップの実態との整合性の確認検証方法として、カメラ付き携帯電話(スマートフォン)とGPS内臓カメラを用い、GPSによる位置情報付建物写真の活用方法に関して引き続き検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査では、1次回収の結果意図した高等教育機関からの回答がほとんど得られなかったため、2次アンケートを実施した。その結果アンケート回収期間が予定より長くなり、アンケート結果の分析などに後れを生じている。またアンケート調査でホームページを開設したことから、次年度以降に実施予定であったリスクの見えるかに伴う作業の一部(教育機関のマップとエリア表示)、位置情報付カメラ(写真)データ利用の妥当性検証を実施した。 次に、震災がれき処理におけるアスベスト混入等の実態調査は、当初計画では2011年3月の東日本大震災を対象としたが、2016年4月に熊本地震が発生したことから、両地震での対応の違いを含めて検討するため、次年度での調査も予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査結果の分析により、高等教育機関でのアスベスト問題に係る教育実態把握に努め、課題の分析、教育機関別の講義テキスト案作成に寄与する計画である。次にリスクの見える化:定量化、影響の程度・範囲の評価・推定方法の開発として、年度別住宅地図の画像比較による経年(潜在的アスベスト使用)建物マップの作成、現地調査による作成マップの実態との整合性の確認検証、潜在的アスベスト使用建物マップと石綿建材出荷データベース照合による地域の製品別のアスベスト製品残存量の推定、推定残存量と事象(通常使用、除去・解体、地震津波などの自然災害)検討による飛散確率推定により、潜在リスクの定量化(飛散量、発生確率)のプラットフォームとして、アンケート調査でも利用したホームページ(インターネットブラウザ)の利用を想定して開発を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度末から平成28年度初旬(4月)に掛けてアンケート調査実施したが、特に注目した高等教育機関からの回答数が非常に少なかったため、年度途中で再アンケートを行った。再アンケート結果の回収後の検収が年度をまたぐこととなったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再アンケート調査結果の回収、検収(平成29年4月予定)後に清算する計画である。
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Research Products
(2 results)