2016 Fiscal Year Research-status Report
センサ・データフュージョンを利用した社会インフラ点検システムの高度化
Project/Area Number |
15K01226
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中畑 和之 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20380256)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 多点計測 / 振動 / データフュージョン / センサフュージョン / カルマンフィルタ / 粒子フィルタ / 三次元可視化 / 相反性 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が開発中である振動の多点計測・可視化システムに,センサ・データフュージョンを導入する.ここでは,S/N比の低いMEMSセンサから有意な加速度データを抽出し(データ校正),さらに,ジャイロセンサ等の異種センサからのデータも加法的に結合することによって多点で得られるデータを補間し(データ結合),構造部材の高精度な3次元動態可視化を行う.さらにシミュレーションと連動し,損傷同定を行うシステムの開発を行うことを目的とする.H28年度に実施したことは,以下の2点である. ① フィルタアルゴリズムを用いた損傷位置の同定 H27年度に構築した3次元動態可視化システムを用いて,H28年度は損傷位置の同定を試みた.ここでは,フィルタアルゴリズムに基づくデータフュージョンを導入し,計測した固有振動と振動モードとシミュレーションデータを同化しながら損傷位置の推定を行った.非線性カルマンフィルタと粒子フィルタの2種類の方法を適用した.構造部材を模擬した2mの平板に人工きずを付加し,その位置と大きさを推定した結果,いずれの手法も振動の曲げ1次モードから損傷位置を同定できた.さらに高次モードのデータを加えることで,同定精度が向上することが確認できた. ② 相反性を利用した振動可視化の効率化 損傷位置の同定や形状まで把握するには,高次の振動モードを利用する必要が生じるが,その場合はより多くのセンサを配置することになる.センサの個数が増えることによるコストの増大,また有線でセンサ同士を結合する場合には配線が複雑になる等のデメリットが考えられる.動弾性問題に対する相反定理に従えば,計測点と加振点を入れ替えた振動データは等価であるので,従来の一点加振多点計測から多点加振一点計測へシフトすることを考えた.ここでは,減肉のあるアルミニウム平板に対して,多点加振一点計測の有効性を検証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H28年度は,データ校正・データ結合モジュールを組み込んだ3次元動態可視化システムを用いてRC桁(実橋梁のモックアップ)の振動計測を行った.これはH27年度の積み残しであったが,H28年度の前半にこれを実施でき,その成果は国内の査読付き論文集に掲載された.また,フィルタアルゴリズムを用いて損傷同定を試みた.この結果,平板中の減肉部が同定できた.ただ,複数箇所に減肉部がある場合など,実際の損傷を考慮した実用的な手法に拡張する必要がある.また,相反性を利用した振動可視化システムの効率化にも取り組んでおり,一点加振多点受信の有効性を確認できた.いずれも,当初の予定通り研究が進んでおり,大きな方向修正も無く順調である.
|
Strategy for Future Research Activity |
振動データでは損傷位置に対する分解能が低いので,H29年度は振動だけでなく波動を利用したいと考える.そのためにはセンサの感度の見直しと,時間的分解能(サンプリングレート)の向上を検討することも必要であろう.また,対象は減肉部だけでなく,き裂の評価へと拡張したい.さらに,複数の損傷がある場合のデータ同化手法の有効性,さらにはその高速化処理についても検証を行いたい.
|
Research Products
(7 results)