2015 Fiscal Year Research-status Report
安全運転支援のための可視光ブーメラン方式の試作研究
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15K01234
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
水井 潔 関東学院大学, 理工学部, 教授 (10229685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 政宏 関東学院大学, 理工学部, 教授 (10200841)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ITS / 車車間通信 / 測距 / 可視光通信 / スペクトル拡散方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,スペクトル拡散方式のうち直接拡散方式を用いた可視光車車間通信・測距統合システム(可視光ブーメラン方式)の試作機を製作し,その実現性について検証する実験を行った. 実験機では可視光通信の受光部にフォトダイオード(PD)を,送光部に赤色LEDをそれぞれ使用した.質問機と応答機でそれぞれ受光し,増幅・波形整形,逆拡散した信号をオシロスコープで観測した. 今回製作した試作機では,可視光ブーメラン方式の基本的な動作確認を主目的にしたため,使用したLEDは各送信部で1個だけにした.そのため十分な光量が得られないので,送受信間の距離は5[cm]と短くなっており,また,背景光の影響を受けやすくなっていたため実験は屋内で行った.通信距離が5[cm]と非常に短いため,距離測定が行えるほどの遅延が生じないので,距離測定は行わずに通信が可能かどうかだけに着目した.また,チップレートを10[kchip/sec]に設定した.127chipのM系列PN符号を用いたため情報ビットレートは79[bit/sec]となり,非常に低速な通信速度となっている.これはオシロスコープを利用しての波形観測による性能評価を行うため,低速にして,観測が容易に行えるようにするためである.干渉波は様々なものが考えられるが本実験では通信に使用するものとは別の127chipのM系列を用いた.質問機/応答機のLEDの照度を調節し,干渉波のレベルを加減した. 実験結果から,直接拡散方式を用いた可視光ブーメラン方式が,ある程度の干渉が加わっても通信が可能であり,測距に関しては実験機の処理遅延による影響が大きいことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の段階では,利用するスペクトル拡散方式として直接拡散方式とタイムホッピング方式(TH方式)の2方式の試作機を製作し,比較する予定であったが,現段階では,直接拡散方式の試作機だけの評価になっている.この理由として,LEDだけでなく他の電子部品の特性の影響も大きく受けるため部品や回路の選定に予定以上に時間がかかり,さらに個々のLEDの光量が十分でないため,想定していた以上に通信距離を延ばすことができず,基本となる直接拡散方式の試作機製作に時間がかかってしまったためである.また,比較対象として作成するTH方式の検討が十分とは言えないため,回路化が難しいと判断したことも理由に挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,直接拡散方式を用いた可視光ブーメラン方式の受光部にディジタルカメラ等のCCDセンサを用いた試作機を研究計画通りに製作し,1年目で使用したフォトダイオード(PD)を用いた場合との優劣を検討する.同時に,タイムホッピング方式(TH方式)の検討を計算機シミュレーションで続けて,実現化(回路化)がより可能なシステムを検討する.そして,TH方式で受光部にフォトダイオード(PD)を使用する場合とCCDセンサを使用する場合の試作機の製作も行い,比較検討を行う.
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Causes of Carryover |
本年度において未使用額が生じた主な原因は2つある.1つは今回製作した試作機による性能評価においては研究計画で購入を予定していたような高機能な測定機が不要で,手持ちの測定器で十分であったためである.2つ目の理由は,海外で開催された国際会議への参加を行わなかったことである.これは,研究の進捗状況が芳しくなかったことと,国際会議の場合は論文投稿から発表まで半年から1年程度の時間がかかること,並びに,日程の関係から調査のための国際会議参加も控えたためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試作機の製作と測定に必要な機材を,研究分担者と相談の上,購入する予定である.また,CCDセンサとして高速撮影が可能なディジタルカメラ等の購入も検討する.当初の計画で購入することにしているパソコンは試作に接続して使用するためのものであるが,これとは別に計算機シミュレーションによる検討も行うために高速なシミュレーションが可能なパソコンの購入も検討する. 一方,研究成果の発表と調査・資料収集のために国内外への学会への参加も積極的に行う.そのための旅費への充当額を増やす予定である.
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