2015 Fiscal Year Research-status Report
テフラで構成される斜面の崩壊現象に関する層序学的・歴史学的研究
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15K01251
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮縁 育夫 熊本大学, 教育学部, 准教授 (30353874)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 斜面崩壊 / 土石流 / テフラ層序 / 歴史学的調査 / 災害発生履歴 / 火山 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国は台風や前線等による豪雨発生頻度が極めて高く,毎年のように土砂災害が発生しており,とくに火山地域においては未固結な火山砕屑物(テフラ)が広く分布していることから,日常的に土砂災害の脅威にさらされている.本研究の目的は,わが国に広がる火山地域で多発するテフラ斜面の崩壊現象について,(1) どのようなメカニズムで発生するのか,(2) 過去においてどの程度の頻度で発生しているのかをテフラ層序学的調査と古文書等による歴史学的調査によって解明し,(3) 発生形態や頻度による危険地域のゾーニングなど将来の防災計画のための基礎資料を提供することである.初年度にあたる平成27年度は,まず阿蘇カルデラ周辺域において調査斜面を設定することから開始した.斜面崩壊の形態は,地形地質・植生等によって異なると考えられるため,カルデラ壁や中央火口丘群斜面など地形の異なる地域において,過去に崩壊が発生した調査斜面を設定した.それぞれの調査斜面において,テフラ層序の詳細な観察・記載と試料採取を実施し,次年度以降の分析のために整理・保管を行った.本年度の主要成果は,比較対象事例として平成25年10月の伊豆大島における斜面災害の概要を明らかにしたことであり,その成果は国際学術雑誌(インパクトファクター付きの査読論文)に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,調査斜面を設定するとともに,比較対象事例として平成25年10月の伊豆大島における斜面災害の概要を明らかにするなど,研究はおおむね順調に進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,阿蘇カルデラ周辺域および伊豆大島において現地調査を行い,調査斜面の記載・観察・試料採取を継続して実施するとともに,各種分析にも着手する.また,今年度に実施できなかった目的を達成できるような年代測定試料の発見に努め,放射性炭素年代測定を専門機関に依頼し,古文書調査も開始する.
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Causes of Carryover |
阿蘇カルデラ周辺域における地層の年代や過去の土砂災害発生履歴を高精度で把握するために,加速器質量分析(AMS)法による放射性炭素(14C)年代測定を実施する予定であったが,目的に耐えうる試料が得られず,分析を依頼することができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究目的を達成するために必要な放射線炭素年代測定用試料の発見に努める.さらに,研究補助による古文書を含めた歴史学的調査も行って,阿蘇カルデラ周辺域における土砂災害発生履歴の解明を進める.
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Research Products
(7 results)