2016 Fiscal Year Research-status Report
巨大地震後に活動した内陸活断層帯の浅層地盤構造調査による断層活動区間・連動性研究
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15K01255
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
木村 治夫 一般財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (00723652)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 活断層 / 誘発地震 / アクティブテクトニクス / 物理探査 / 地中レーダ / 丹那断層 / 姫之湯断層 / 早霧湖断層群 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に地中レーダ探査を実施した地点のうち,姫之湯断層姫之湯地点,早霧湖断層群b断層戸倉野地点で取得されたデータについて,とくに極浅層部をより高分解能で可視化することを目標としてデータ再処理を行った.その結果得られたより詳細な地下構造断面に基づき,戸倉野地点の断層の近傍で,断層を挟んた両側のブロックそれぞれで追加ボーリング調査を実施し,地下層序情報と各種分析試料を得た.これらの試料について粒度分析,含水率分析,初磁化率測定を行った.また,前年度に実施したボーリング調査で得られた試料についても上記と同様の分析を行った.ただし,年代測定は未実施で,次年度に実施する予定である. 前年度の調査候補地点選定のための予察調査によって選定された地点のうち,丹那断層の田代地点において地中レーダ探査を行った.データ処理の結果,深度約6mまでの地下構造断面を得た.さらに他機関(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)と共同して,本測線と同じ場所で精密重力探査を実施した.地中レーダ探査断面と重力探査結果との比較は次年度に実施予定である.なお,本地点では先行研究としてトレンチ掘削調査が行われており(近藤ほか, 2003),極浅部の地下層序情報は既に得られていることから,丹那断層田代地点では新規の掘削調査は実施していない. さらに追加の調査候補地点を選定するために,本研究でこれまでに地中レーダ探査・ボーリング掘削調査未実施の区間(箱根町断層,丹那断層帯南部の浮橋断層など)で,調査地点の絞り込みのための地質・地形概査を行った.今後,さらに候補探査測線近傍の状況を精査した上で,次年度に地中レーダ探査・ボーリング掘削調査を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下記の点で課題があるものの,ほとんどの点では平成28年度の研究実施計画通りに進んでおり,おおむね順調である. 1.ボーリング試料について,年代測定が未実施である. 2.本年度までの調査では大きな必要性は生じていないものの,三次元地中レーダ探査が未実施である. 本年度までに探査実施した各地点では二次元地中レーダ探査によって地下の断層構造(あるいは断層による変形構造)のイメージングに成功している.しかし今後,二次元探査だけでは検出が難しい純粋な横ずれ断層の検出も可能とするために,本研究において活断層の三次元地中レーダ探査の調査手順・ノウハウの確立を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の平成29年度の研究実施計画通りに遂行すると共に,平成28年度に得られた上記課題を解決するために.下記を試みる. 1.得られた試料について,放射性炭素年代測定を行う.同測定については所属研究機関には測定装置が無いため,外部委託する. 2.平成27年度,28年度に探査を実施した地点と,平成29年度探査候補地点のうちから,とくに三次元地中レーダ探査に適した地点を選定し,三次元探査を実施する.
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Causes of Carryover |
当初の計画で見積もっていた現地調査のための旅費について,他研究機関からの依頼出張旅費や,所属研究機関の研究予算からの支給があったため,本科研費での実績額がかなり少なくなり差額を生じた. これは,本研究課題における調査対象地域と,他研究機関との共同研究や所属研究機関の業務での調査対象地域が共通しているものがあり,これらの現地調査のスケジュールを連続させたり,同時に現場作業を実施することにより,本科研費研究課題における旅費支出を節約することができたからである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ボーリング掘削によって得られた試料の放射性炭素年代測定にあたっては,所属研究機関には測定装置が無く,外部に業務委託する必要がある.このための費用として使用する予定である.
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Research Products
(1 results)