2016 Fiscal Year Research-status Report
積雪期地震の災害発生メカニズムの解明と都市地震危険度評価手法の開発
Project/Area Number |
15K01258
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
水田 敏彦 秋田大学, 地方創生センター, 教授 (30342455)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 積雪寒冷地 / 積雪期 / 地震被害 / 文献調査 / 地震災害危険度 / マルチエージェントモデル / 避難 / 横手市 |
Outline of Annual Research Achievements |
積雪寒冷地においては、冬期地震が発生した場合、堆積雪や屋根雪による直接被害の拡大が予想される。さらに、積雪に伴う避難および救助・救急活動といった直後対応には多くの困難が伴う恐れがある。本研究は、過去の積雪期地震時の被災と対応の実態を解明し、避難行動や除雪などソフト面の対応を評価手法に取り込むことで、積雪寒冷地特有の自然条件・社会条件を反映した地震危険度評価を行うことを目的とするもので、3年間に亘って計画される研究の2年目にあたる。以下の3項目について研究を進めた。 1.積雪寒冷地における地震時の積雪による被災と対応の実態調査(後半):1854年12月23日安政東海地震(※太平洋側で発生する巨大地震での日本海側の雪国における被害)、1927年3月7日北丹後地震、1961年2月2日長岡地震、2004年10月23日新潟県中越地震(※地震後の積雪被害)、2011年3月12日長野県北部地震について、各種被害報告、新聞記事などを収集・整理し、冬の地震、特に積雪下の地震防災を考える上で参照すべき被災事象、問題点を明らかにすることができた。 2.積雪寒冷地住宅の振動特性の実測調査:積雪寒冷地においては、振動特性の季節変動が想定される。特に屋根雪荷重による住宅の卓越周期の変化などが考えられる。そこで、横手市を中心とした秋田県内の住宅について、夏期と冬期、屋根の雪下ろし前後の微動観測を実施し、建物の卓越周期の変化を明らかにした。 3.道路閉塞や避難行動を算出するシミュレーションシステムの開発:昨年度に構築した建物・道路データベースを基に、マルチエージェント手法を導入して、屋根雪や堆積雪、建物倒壊の状況から、道路閉塞や避難行動をシミュレーションするシステムを開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
豪雪地帯の積雪期(12月~3月)に発生した地震災害の調査・分析、冬期間における防災上の現状と課題の把握を行い、積雪寒冷地の地震災害危険度評価に必須と思われる被災事象、問題点について成果が得られている。また、積雪寒冷地住宅の振動特性の季節変化の把握、道路閉塞や避難行動を算出するシステムの開発ともほぼ予定通り研究を遂行できた。なお、豪雪地帯である秋田県内陸部は平成28年度が暖冬であったことから、積雪寒冷地住宅の振動特性の観測については次年度も行うこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、①積雪寒冷地住宅の振動特性の季節変化の観測、②積雪寒冷地のための地震危険度総合評価システムの開発を進める。②については下半期に横手市の防災担当者を交えて妥当性・有効性を検討し、評価を受けて必要な改良を行いたい。また、過去の積雪期の地震災害についても文献調査を継続する。
|
Causes of Carryover |
世界地震工学国際会議(チリ)の発表経費が予定よりも抑えられたため、繰越助成金が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
過去の積雪期地震災害の資料収集と積雪寒冷地住宅の振動特性観測の旅費、その他の経費に使用する。
|
Research Products
(4 results)