2015 Fiscal Year Research-status Report
近年頻発している大規模土砂生産後の土砂動態に関する移動場変化過程に注目した解析
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15K01261
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
清水 收 宮崎大学, 農学部, 教授 (20178966)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土砂動態 / 河床変動 / 流路安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、試験流域におけるこれまでの土砂移動計測結果の分析から以下の成果を得た。 2003年(24時間雨量322mm)と2006年(同311mm)の大雨でそれぞれ54,000m3、30,000m3の大規模な土砂堆積が発生し、それ以外の年には毎年4,000~8,000m3の洗掘が進行した。しかし、2012年からは毎年1,000~2,500m3の洗掘量に減少した。大雨年以外の各年において降雨に大きな差異はないことから、近年の洗掘量の減少は外力(雨)の変化でなく、場(河床)の変化によると考えられた。この間の河床変動を上・下流で比べると、堆積規模も大きかった上流で初めの約5年間洗掘が活発で、その後は停止しており、下流でも次第に洗掘の規模が低下してきたが、近年も小規模な洗掘は継続している。 洗掘に伴う河床横断形の変化について、上流では平坦河床から溝状に掘り込みが始まり、最低河床高が低下し流路断面も拡大していき、4~5年間経過後に変化が停止した。下流では時間経過と共に流路断面が拡大するように洗掘が進んでいるが、上流と比べその進行程度は小さく、また上流からの土砂流入によって堆積が生ずることもあり、河床低下や流路拡大が僅かであるが現在も継続している。河床堆積土砂の粒径変化については、堆積イベントによって細粒分の多い土砂で河床が満たされ、その後河床洗掘が進むとともに粗粒化が進んだ。その変化は上流では4~5年で停止し、下流では現在も継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の河床変動調査は、予定どおり実施した。また、これまでの集積データの分析も、前述の研究実績の概要に記したような成果を得ている。 平成27年度からインターバルカメラ撮影による水位上昇の計測を当初計画どおり開始し、現在、データの収集蓄積を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も、当初計画どおり現地における河床変動調査、カメラ撮影による水位計測を継続する。また、これまでの集積データの分析で得られた成果について、水理学的検討を加えて一般化を図り、投稿論文の準備を進める。
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Causes of Carryover |
天候に恵まれて現地調査日数が短く済んだため、旅費の使用額が少なくなったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現地設置カメラの保守のために旅行回数が増えることから、旅費に使用する予定である。
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