2016 Fiscal Year Research-status Report
土石流危険渓流における土石流の発生頻度とその規模に基づくリスク評価の試み
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15K01262
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井村 隆介 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (40284864)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土石流 / 扇状地 / 履歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
土石流危険渓流における土石流の発生頻度とその規模に基づくリスク評価を行うための基礎データの習得を目的として,鹿児島県姶良市西部で土石流危険渓流に指定されている5つの渓流について,調査を行った. 過去の土石流堆積物について,その性状,分布を明らかにすることを目的として,空中写真を用いて地形区分を行った.そして地形区分をもとに現地で地形・地質の調査を行った.その結果,比較的最近に発生したと考えられる土石流堆積物の分布を把握をすることができた.姶良市立重富小学校(平松城跡)の周辺には,扇状地上に土地区画上不自然な区割りがある.このことは平松城前の屋敷地の区画整備の後に土石流が発生したことを示している.平松城周辺の屋敷整備は江戸時代中期ころに行われたと考えられているので,土石流の発生はそれ以降ということになる.一方,明治以降にはこの地域で被害を伴うような大きな土石流の発生は知られていないので,土石流の発生は江戸時代の中~後期に発生したものであることがわかる.地形区分で明らかになった扇状地の規模から判断すると,その土石流の規模は,数1000から数10000m3程度であると判断される. H28年度は前年度に実施することのできなかったボーリング調査を鹿児島県姶良市平松地内で行った.その結果,(十分な検討はまだ終えていないが)地表から10mの深さまでの間に,厚さ3m程度の土石流堆積物を2枚見つけることができた.地層の年代測定を行っていないために,その発生間隔を明らかにすることはできていないが,地形調査から推定されていた過去の土石流の存在が地質調査からも明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度は,前年度に実施することのできなかったボーリング調査を行うことができ,多くのデータを得ることができた.H29年度にもボーリングを実施するが,その手続きも順調に進んでおり,研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
土石流の発生間隔について,より多くの情報を得るために,さらなるボーリング調査を行う.ボーリング試料の詳細な記載,地層の年代測定を行い,土石流の発生頻度を明確にするとともに,周辺の地形・地質学的調査結果と合わせて,土石流の発生頻度とその規模に関しての考察を行う.
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Causes of Carryover |
地質試料の年代測定費として使用する予定でいたが,年代測定の依頼をH29年度に実施するボーリング試料の分とあわせて依頼した方が,全体の費用の節約になることがわかったため,H28年度の使用を見送った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度に行うボーリングの試料とあわせて年代測定を依頼する予定なので,確実に使用する.
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