2017 Fiscal Year Annual Research Report
An attempt of risk assessment based on the frequency and the magnitude of debris flows
Project/Area Number |
15K01262
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井村 隆介 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (40284864)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土石流 / 規模 / 発生頻度 |
Outline of Annual Research Achievements |
鹿児島県姶良市重富地区には,土石流危険渓流や土砂災害警戒区域に指定された9つの流域が存在する.これらの渓流に対しては,いくつかの砂防ダムなどが作られたうえで,姶良市によってハザードマップが作成されている.しかし,この地域で過去に発生した土石流の規模や頻度については,全く知られておらず,現在の対策や警戒の範囲が充分であるかどうかの検証は十分ではない.そこで本研究では,土石流危険渓流の土砂堆積域でボーリング調査を行い,過去の土石流の発生頻度とその規模を明らかにし,それによる土石流発生のリスクについて考察することを試みた. 重富地区にある9つの渓流のうち,最も最近に土石流が発生したと考えられる渓流(本流長:2000m,流域面積:1196.8m2,河床傾斜:平均12度)が作る扇状地の末端部において20mのボーリング調査を行った.得られたボーリングコアは,全体として砂礫からなるが,いくつかの古土壌を挟む.大きな岩塊を含み,淘汰の悪い,土石流堆積物と考えられる堆積物は,地表から,4.85~8.42m,8.80~9.50m,13.28~14.90m,17.00~20.00mの少なくとも4層準で確認された.土石流堆積物の厚さ(1m~数m)と扇状地の大きさ(70,000m2))から判断すると,それぞれの土石流は数万m3の規模であると判断できる.地層に含まれている火山灰層や14C年代測定の結果,これらの土石流は,それぞれ,8200年前,8800年前,14000年前,15000年前に発生したものと推定された.この渓流での土石流の平均的な発生間隔は数1000年に1回となるが,同様の規模の渓流が9つあることから考えると,重富地区では数100年に1回は10000m3規模の土石流が発生してきたと考えられる.今後,この地域の防災計画を考える際には,以上のようなことを考慮しておく必要がある.
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