2015 Fiscal Year Research-status Report
複数時期の画像およびLiDARデータの解析による変形斜面の特定と崩壊リスクの予測
Project/Area Number |
15K01272
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
村上 亘 国立研究開発法人 森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (10353880)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 航空レーザー測量 / 斜面変形 / 亀裂 / 崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
宮城県栗原市において、2008年の岩手・宮城内陸地震と2011年の東日本大震災の前後に計測された航空レーザー測量(LiDAR)データを比較することで今後の崩壊発生の危険性が高い斜面の変形箇所を抽出し、現地を踏査することで抽出結果の確認を行った。これまでの調査から、すでに確認されていた2008年の地震の際に亀裂をともなう変形が発生した斜面稜線部では、2011年の地震によって亀裂が拡大したこと、亀裂の拡大にともなう斜面変形の進行は2008年の地震の時ほど大きくなかったことが明らかとなった。調査地では2015年9月の関東東北豪雨の際に時間雨量100㎜の降雨が観測され、それにともなう斜面崩壊および土石流が発生したことから、崩壊が発生した斜面における2008年と2011年の地震による影響の有無に焦点をあてた調査も行った。調査の結果、今回発生した崩壊および土石流は2008年の地震の際にすでに崩壊していた斜面で発生しており、2008年の地震で崩壊した斜面の崩土が今回の豪雨によって流出し、土石流となったことが推察された。また、崩壊斜面の源頭部では、斜面の基盤となっている安山岩と溶結凝灰岩の地質境界部からの地下水の流出が現地調査の際には確認されたことから、豪雨によって地下に浸透した水が地質境界より流出し、それが斜面に残存する崩土を巻き込んで土石流化した可能性が示唆された。なお、上述した亀裂をともなう変形が発生した斜面稜線部では、今回の豪雨による変形の進行は豪雨後の調査からは認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は入手した2008年の岩手・宮城内陸地震と2011年の東日本大震災の前後に計測されたLiDARデータの比較から斜面変形箇所を抽出し、現地で抽出結果を確認するとともに、すでに確認していた2008年の地震の際に亀裂をともなう変形が発生した斜面稜線部において、2011年の地震による変形の進行を亀裂の拡大などから明らかにすることができた。さらに、関東東北豪雨の際に調査地においても土石流をともなう崩壊が発生しており、先の2つの地震によって斜面に発生していた亀裂や崩壊との関係の有無についても確認することができた。以上のことから研究は順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、斜面の変形箇所の抽出と抽出結果の現地での確認を進めるとともに、確認した斜面の不安定さについて、現地で貫入試験などを実施することで評価していく。2016年4月14日および16日にかけて発生した熊本地震においても、今後の崩壊の危険性のある斜面変形が山地斜面において発生している可能性があるため、本研究を遂行する上では調査対象として加える必要があると考えている。これについては現地状況や入手できるデータ等の使用許可などを考慮し、検討したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた衛星データが当初予定していた金額よりも大幅に超過していたことが判明し、当該年度の購入は難しいと判断し、次年度購入としたために残金が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入を見合わせた衛星データの購入に使用する。
|