2015 Fiscal Year Research-status Report
内因性光信号を用いた多元脳機能イメージング法による神経活動と血流の時空間動態解析
Project/Area Number |
15K01276
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 統裕 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (20282030)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経血管カップリング / 内因性光信号イメージング / フラビン / 血液量 / ヘモダイナミクス / グリア細胞 / 脳 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質の神経細胞の代謝活性を反映するフラビン蛍光と,神経活動に伴い変化する脳局所血液量を反映する緑色散乱光を同時に計測するための多波長蛍光・散乱光イメージングシステムの開発を行った. まず,CCDの撮像タイミングで複数の光源を高速切り替え可能な多波長光源制御装置を設計・製作した.これと高速スイッチングが可能な低ノイズLED光源を組み合わせることにより,多波長照明装置を開発した. 次に,蛍光および散乱光を測定するための光学系について検討した.これまで類似の顕微鏡システムが報告されているが,いずれも励起および照明光を標本の斜めから照射する方法を採用している.照明むらを低減するためには複数の光ファイバーで照射する必要があるが,神経電極を刺入するためのスペースを確保するのが難しいなど,発展的な実験を行う際の制約になっていた. 本研究では対物レンズを通して照明光を導入する同軸落射照明方式を採用することにした.その場合,通常は対物レンズの上に励起光を反射し蛍光を通過させるダイクロイックミラーを設置するが,フラビン蛍光と血液量測定に最適な緑色照明光の波長が重なっているため不適と考えられた.そこで,波長選択性を持たないガラスリフレクタを採用し問題を解決した.実際にこれらの特性を満たすLED照明やフィルタを実装した光学系を立ち上げ,さらに光源の照明強度やCCDカメラの感度などの最適化を行った. 開発した2波長蛍光・散乱光イメージングシステムを用い,マウス大脳皮質活動に伴う代謝活性(フラビン蛍光)および血液量変化(緑色散乱光)を計測した.その結果,期待通りのデータが得られることが確認された.本システムは,LEDの追加と制御回路の調整により多波長イメージングシステムに拡張可能である.次年度以降はこれの発展形についても検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,大脳皮質代謝・血液量ダイナミクスの2波長蛍光・散乱光イメージング顕微鏡の開発を行うとともに,動物実験による性能評価を行い,所望の性能を満たしていることが確認されているため.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に開発した,2波長蛍光・散乱光イメージング顕微鏡を用いて,マウスの大脳皮質代謝(フラビン蛍光)・血管活動(緑色散乱光)を経頭蓋的に計測する.血中ヘモグロビンはフラビン蛍光を吸収する性質があり,その効果が無視できないことから,フラビン蛍光信号から血液量変動由来の成分を除去する必要がある.2年度ではそのための信号処理アルゴリズムを開発し,正確な代謝由来成分を推定する方法を確立する.これにより,従来法では測定できなかった,フラビン蛍光変動のアストロサイロ由来成分を推定する.これにより,脳における神経血管カップリングにおけるアストロサイトの影響をモデル化し,その貢献を評価する.
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Research Products
(13 results)