2016 Fiscal Year Research-status Report
インペラに作用する力の釣り合いを利用した動圧浮上遠心血液ポンプの開発
Project/Area Number |
15K01305
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小阪 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (10415680)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工心臓 / 血液ポンプ / 動圧軸受 / 軸受隙間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、インペラに作用する流体力と永久磁石による磁気力、動圧軸受による軸受発生力の釣り合いを利用した血液ポンプを開発することで、動圧軸受を単独で使用した場合では達成困難な広い軸受隙間を安定して実現する。平成28年度は、インペラに作用するスラスト合力とラジアル合力を解析することで、ポンプの至適形状を求めた。 1) インペラに作用するスラスト合力の評価:ポンプ内のインペラに作用するスラスト合力を評価するため、インペラ上下面の流体力と動圧発生力を軸受隙間毎に数値流体解析により算出し、インペラの磁気力、自重、浮力は試作モデルを用いて実測した。そして、軸受隙間毎にインペラの合力を求めることで、総軸受隙間の中央でインペラ上下の合力が釣り合うインペラの至適形状を求めることができた。また、スパイラル溝形状の動圧軸受の山部と溝部の比と螺旋角度を数値流体解析により至適化することで、軸受発生力を高め、より安定した浮上を実現できることがわかった。 2) インペラに作用するラジアル合力の評価:インペラに作用するラジアル合力を評価するため、インペラ中心方向に作用する流体力、動圧発生力、磁気力、遠心力を求め、インペラ中心方向に作用する合力と外周方向に作用する遠心力が釣り合う軸受隙間を求めた。さらに、軸受剛性を設計パラメータとして、偏心や公転運動の少ない多円弧動圧軸受の至適円弧数と軸受深さを求めることが出来た。 3) インペラに加わる合力を考慮したポンプ形状の最適化設計:ポンプ形状の最適化設計を行うため、インペラに作用するスラスト合力の評価結果をもとに、スラスト方向の釣り合い位置は、動圧軸受の軸受形状とインペラの上下面の面積を変えたモデルにより調整できることが明らかとなった。また、ラジアル合力の評価結果より、ラジアル方向の釣り合い位置は、動圧軸受の軸受形状で調整できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に作成したインペラの作用力を解析するソフトウェアを利用し、スラスト方向の合力の釣り合い位置がケーシング中央部となる至適形状を明らかにすることができた。また、ラジアル軸受の多円弧動圧軸受の至適円弧数と軸受深さを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、インペラに作用する合力を釣り合わせた至適形状の血液ポンプを試作し、動圧ポンプ内のインペラの浮上位置計測試験を実施し、解析結果と比較評価する。また、in vitroの血液適合性試験を実施する。最後に、連携大学病院にて動物実験を行うための最終モデルを製作する。
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Causes of Carryover |
血液ポンプ内のインペラの至適形状を試作モデルを用いて評価する計画であったが、過去に試作したモデルを活用することで評価が可能であったため、主に数値流体解析を活用して本年度の研究目標を達成させた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度上半期までに実機を試作し、インペラの浮上距離計測試験や血液適合性試験を実施することで研究目標を達成する予定である。
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Research Products
(1 results)