2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症性疾患へのN-アセチルグルコサミン糖鎖高分子を用いた分子標的化技術の創製
Project/Area Number |
15K01313
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊勢 裕彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (10324253)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビメンチン / N-アセチルグルコサミン / 糖鎖高分子 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、細胞骨格分子ビメンチンに強い結合力を有し、分子標的薬や生体イメージングのために利用できるプローブとしての分子量が均一に制御されたGlcNAc糖鎖高分子を設計および開発を行った。そこで、アクリル酸を主鎖とするGlcNAc糖鎖高分子の作製を検討した。カルボキシエチルアクリレートにアミノ基を一位に導入したGlcNAcを脱水縮合によって結合した。このアクリル酸エチルGlcNAcをRAFT(Reversible Addition/Fragmentation Chain Transfer)剤を用いることで重合して、分子量の異なるGlcNAc糖鎖高分子(AC-GlcNAc)の作製を行った。そして、これらのAC-GlcNAcに蛍光ラベルを施し、HeLa細胞との相互作用を検討した。その結果、分子量が2000~3000程度のものでもHeLa細胞にビメンチンを介して相互作用することが見出された。また、ビメンチン以外のType3中間径フィラメントであるデスミンやペリフェリン、グリア繊維製酸性タンパク質(GFAP)にも相互作用することが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に作製予定であった分子量の制御されたGlcNAc糖鎖高分子の設計に成功している。またビメンチンを介してHeLa細胞に相互作用していることも明らかにできた。以上のことことから概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定は、作製されたGlcNAc糖鎖高分子(AC-GlcNAc)のガン細胞や線維芽細胞、間葉系幹細胞等への相互作用を詳細に検討していく。またビメンチン等の細胞骨格分子の細胞外への出現メカニズムについても検討していく。さらに慢性炎症性疾患の疾患部位への標的化が可能化について詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
論文の投稿や次年度の研究を前倒しで実施するために予算の前倒しを実施したが、実験の進行が予定よりも遅くなり、金額が余ってしまい次年度使用金額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用金額では、引き続き論文投稿や平成28年度で実施する研究を行う予定である。
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Research Products
(11 results)