2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症性疾患へのN-アセチルグルコサミン糖鎖高分子を用いた分子標的化技術の創製
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15K01313
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊勢 裕彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (10324253)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビメンチン / GFAP / ペリフェリン / デスミン / GlcNAc / レクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ビメンチンを初めとするtype3型中間径フィラメントの細胞表面上の出現とN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)結合活性の検討を行った。これらの分子の細胞表面上の発現とGlcNAc結合活性を検討するためにCRISPR/CAS9システムを用いてビメンチンを欠損させたHeLa細胞を作製した。これらのビメンチンを欠損させたHeLa細胞は、GlcNAc糖鎖高分子に対する相互作用が喪失することが明らかにされた。そこで、これらのHeLa細胞にtype3型中間径フィラメントであるビメンチン及びデスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、ペリフェリンを強制発現させ、これらの分子の細胞表面上の発現とGlcNAc結合活性をGlcNAc糖鎖高分子を用いて検討した。またこれらの分子のGlcNAc結合活性を表面プラズモン共鳴解析(Biacore)によって検討した。フローサイトメトリーや共焦点レーザー顕微鏡を用いて、これらの分子を強制発現させたHeLa細胞におけるGlcNAc糖鎖高分子の相互作用を検討したところ、細胞表面上でGlcNAc糖鎖高分子の結合が観察された。さらにBiacoreによるこれらの分子のGlcNAc糖鎖高分子へ結合の検討では、解離定数が10-7 Mから10-8 M程度であることが明らかにされた。さらにGFAPを発現するグリオーマやペリフェリンを発現するPC12におけるGlcNAc糖鎖高分子を検討したところ、相互作用が確認された。そして、これらの分子の細胞表面上の出現を検討したところ、GFAPやペリフェリンもビメンチンやデスミンと同様に細胞表面上に出現することが示された。以上のことから、type3型中間径フィラメントは細胞表面上に出現しGlcNAc結合活性を有することがはじめて証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビメンチンに高い相互作用を有するGlcNAc糖鎖高分子の設計を実現し、さらにType3中間径フィラメントの細胞表面上の出現とGlcNAc結合活性を証明することができた。このことから、当初の予定どおり研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
Type3中間径フィラメントの細胞表面上の出現とGlcNAc結合活性の証明に成功した。そこで、これらの分子が細胞表面上に出現する機構について検討していく。またGlcNAc糖鎖高分子が細胞表面上でこれらの分子に結合したときの細胞の挙動を明らかにしていく。これらの結果を基にType3中間径フィラメントの細胞表面上の発現とGlcNAc結合活性の生理的意義の解明を検討していく。
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Causes of Carryover |
Type3中間径フィラメントを強制発現するHeLa細胞の作製およびBiacoreによる相互作用解析を実施するために、遺伝子工学用の試薬の購入を行った。しかしながら、遺伝子工学用の試薬の購入において前倒しした金額よりも少額での購入が可能であったため、差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Biacoreによる相互作用解析において、センサーチップの購入を行うため、差額が生じた金額を使用する予定である。また論文を投稿していることから、その投稿費用にも充てる予定である。
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