2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K01337
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
土井田 稔 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60237170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 秀樹 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20285604)
遠藤 寛興 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60458172)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 椎間板 / 変性 / MRI / T2 mapping / 髄核 |
Outline of Annual Research Achievements |
腰痛の原因となる椎間板変性の機序を解明し、椎間板変性を早期に診断するために腰椎MRIを撮像し、T2マッピング法にて極早期の軟骨変性を解析した。健常人40名(男性26名、女性14名、平均年齢25.6歳)を対象とした。腰椎の負荷前に撮影し、ROI(関心領域)を髄核、前方・後方線維輪に設定し、T2値を各椎間レベルで評価した。負荷前のT2値は髄核が有意に高く、髄核ではL3/4で148と最も高く、L5/S1では112と有意に低値であった。髄核の変性グレードによる評価では、各々のT2値は、138, 122, 92, 60msecと変性度とT2値は強い相関が認められ、椎間板変性の早期診断に応用できることが示唆された。一方、前方、後方線維輪では変性度が進んでもT2値には有意な変化がなく、早期の椎間板変性が髄核から発生することも明らかになった。 一方、ラット尾椎椎間板モデルについては、岩手医科大学では未だ確立できておらず、過去の報告に追随した。椎間板の圧迫による変性モデルを作成し、変性による1型コラーゲンの上昇やアグリカン、2型コラーゲンの低下を報告した。本モデルでの圧迫群では、椎間板での蛋白及びmRNAレベルでのMMP群やADAMST群の経時的な進行性の発現上昇が確認され、異化遺伝子の発現上昇が椎間板変性の初期の変性機序であることを明らかにした。これらの点から機械的因子が椎間板変性の引き金になることが推測され、MRIによる評価と合わせて動的因子が変性に与える影響について研究を進めていく予定である。 動的負荷が椎間板組織に与える生物学的影響については、神戸大学での研究を継続した。組織培養した椎間板に動的負荷をかけることにより髄核を中心として椎間板変性が誘導されることを明らかにした。さらに動的負荷により椎間板が変性していく過程でIntegrinが関与していることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究実施計画において1)椎間板変性の病態解明の研究と2)T2マッピング法MRIの撮像をテーマとして研究を行った。椎間板変性の初期変化をとらえその病態を解明するために健常人ボランティア40名のMRIを撮影しT2値を計測した。T2値が椎間板変性の早期診断に応用できることが明らかになったので今後は腰椎の前屈・後屈動作後も同様に測定し、椎間板変性の病態と早期診断法についてさらに研究を進める。 一方、ラットを用いた病態研究では、岩手医科大学の施設の問題もあり、研究モデルの作成が困難である。従って、この分野においては、情報を共有して神戸大学の研究グループと共同で研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
椎間板変性の病態解明と早期診断方法を開発するために腰椎に運動負荷をかけ、負荷前と負荷後のMRIT2値を比較検討する。各椎間レベル、線維輪の前方、後方に分けT2値を計測し、椎間板変性の病態と早期診断システムの構築に関する研究を推進していく。 一方、動的負荷が椎間板組織に与える生物学的影響については、神戸大学での研究(基盤研究(C)課題番号24592197)を継続していく。組織培養した椎間板に動的負荷をかけることにより髄核を中心として椎間板変性が誘導されることが明らかになっている。動的負荷により椎間板が変性していく過程でIntegrinが関与していることが示唆された。Integrinの役割をさらに追及していくことで早期の椎間板変性を診断し治療しうる可能性について研究を進める。 当初は研究計画に入れていなかったが、学会などで現在の研究結果を報告し、また情報を収集していくと臨床研究の必要性が明白となった。すなわち、椎間板性腰痛に対する最小侵襲治療システムを確立していく上で現在の治療方法の問題点と治療成績を検証する必要がある。現在、変性した椎間板に対して側方侵入による椎体間固定術と後方固定術が施行されることが多く、比較的出血量が少ないなどの点から侵襲が小さい方法とされている。しかし、固定範囲により患者さんの日常生活動作が制限されるなどの制約も多い。新たな治療システムを確立していく上で現在の治療法の成績と問題点を調査していく。
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Causes of Carryover |
初年度の研究計画において算定していた動物購入などの物品が施設の関係で研究が困難であったことから支出できなかった。また、人件費を算定していたが、研究者と大学院生が研究とその結果分析にあたったために発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
腰椎椎間板変性の病態解明を画像診断と組織培養システムの両側面から研究を推進していく予定であり、そのために一部物品費に回す。また、初年度は海外での成果発表を実行しなかったが、H28年度は海外で成果発表を行う予定であり、一部旅費として使用予定である。また、新たな臨床研究の解析などの費用にも充てる予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Functional impact of integrin α5β1 on the homeostasis of intervertebral discs: a study of mechanotransduction pathways using a novel dynamic loading organ culture system2015
Author(s)
Kurakawa T, Kakutani K, Morita Y, Kato Y, Yurube T, Hirata H, Miyazaki S, Terashima Y, Maeno K, Takada T, Doita M, Kurosaka M, Inoue N, Masuda K, Nishida K
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Journal Title
Spine J
Volume: 15
Pages: 417-26
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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