2016 Fiscal Year Research-status Report
心臓MRIを用いたフューチャートラッキングストレイン法による予後予測の検討
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15K01346
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
竹内 正明 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (30236434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾辻 豊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30264427)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心臓MRI / ストレイン / フィーチャートラッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
心疾患患者の重症度診断、予後予測、あるいは手術前患者のリスクを評価する上で、心機能評価は日常臨床できわめて重要である。通常心機能評価は心エコー検査を用いて行われるが、 良好な画質を得ることはできず、ある一定の割合で存在する画質不良例では正確な評価は困難となる。一方心臓MRI(CMR)はほぼ全例で、良好な画像を得ることができ、心機能を定量的に評価する上では、現時点で最も優れた方法であると考えられる。またガドリニウムを用いた遅延造影による心筋線維化の検出は虚血性心疾患患者や各種心筋症患者の予後予測に極めて有用である。しかし腎機能が低下している患者には施行することができないことが問題点である。ストインは心機能を定量的に評価する上で左室駆出率同様有用な指標であるが、過去のCMRを用いたストレイン計測は特殊な画像収集方法、解析ソフトが必要であり、広く臨床には普及していなかった。一方近年登場したFeature tracking (FT)法は心エコー図の2D speckle tracking法と同様cine CMR画像からストレイン値を計測できる簡便かつ新たな方法である。我々はこの方法が予後予測に簡便かつ有用なものであるとの仮説を立てた。本研究の目的はこの仮説を証明するために1): FT法によるストレイン値計測は信頼できる正確な方法であることを既存の確立されている方法と比較検討することで証明し、2): 予後予測の新たな指標になり得ることを後方視的、前方視的に多施設で検討することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FT法により得られた左室容量、駈出率、ストレイン値は心エコーによる2D/3D speckle tracking法によりえられた左室容量、駆出率、ストレインと良好な相関を示した。また後ろ向きの予後調査でもFT法による左室のトランスバースストレイン、右室のラディアルストレインは予後予測に有用であった。以上の研究結果を投稿し、現在までに以下の2本の論文が学術雑誌に掲載された。 1.Obokata M, Nagata Y, Wu VC-C, Kado Y, Kurabayashi M, Otsuji Y, Takeuchi M.: Direct comparison of cardiac magnetic resonance feature tracking and 2D/3D echocardiography speckle tracking for evaluation of global left ventricular strain. Eur Heart J Cardiovasc Img 2016;17:525-532 2.Yang L-T, Yamashita E, Nagata Y, Kado Y, Oshima S, Otsuji Y, Takeuchi M.: Prognostic value of biventricular mechanical parameters assessed using cardiac magnetic resonance feature-tracking analysis to predict future cardiac events. J Magn Reson Imaging 2017;45:1034-1045
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は最後の前方視的研究を行う。具体的には平成27~28年に各施設で施行されたCMR症例を収集し、多断面の短軸断層CMR画像に通常計測を適応、左室容量、左室駆出率(LVEF)を計測する。左室機能低下例の予後予測は臨床的に極めて重要であることを念頭に、対象症例中左室駆出率が低下している症例 (LVEF<45%)を抽出し、同症例にFT法によるストレイン計測を実施する。平成29年6月に予後評価を実施し、各種ストレイン計測値の予後予測能を前向きに検討する。良い結果が得られれば論文を作成し、投稿する。現在のところCMRデータの収集は全て終了し、約350例のCMRデータが集まっており、現在解析用のコンピューターにデータを移行し終わったところである。予後調査を行う6月までに、通常計測、F T法による計測をそれぞれ別の検者が行う。予想としては約半数の患者は左室機能低下症例を考えられ、最終的に研究対象となり得る患者総数は170から200例程度と推察される。本年6月から約2ヶ月程度で予後調査を実施。その後統計解析を行う予定である。全体として有意差が得られた場合、左室機能不全を拡張型心筋症、虚血性心筋症、二次性心筋症の3群に分け、各群での有用性も出来れば検討したいと考えている。一方結果がはかばかしくない場合は、観察期間が短いことも考えられるため、全ての患者の観察期間が最低1年となる本年12月に予後調査を再実施し、再解析を行予定である。
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Causes of Carryover |
出張旅費として600,000円の使用予定分が558,150円だったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、残金を書籍などの物品購入として使用する予定。
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Research Products
(2 results)