2015 Fiscal Year Research-status Report

高空間分解能MRIのための送信および受信専用マルチチャンネルRFコイルの開発

Research Project

Project/Area Number	15K01350
Research Institution	National Institute of Information and Communications Technology
Principal Investigator	松岡雄一郎国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能計測研究室, 主任研究員 (80372150)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords	医用システム / 画像診断システム / MRI / RFコイル
Outline of Annual Research Achievements	7T-MRI装置で局所的なヒト脳領域をMR撮像するためのマルチチャンネルRFコイル開発として、マルチチャンネルコイルを構成するための基礎となる単一のサーフェス型1ループのRFコイルを設計し、観察対象をヒト脳の電気特性（誘電率と導電率）を模擬した円筒型均一ファントムとして、電磁界シミュレーションにおいてRFコイルの共振特性（共振周波数やインピーダンス・マッチングなど）やRF送信時のSARなどを評価し、マルチチャンネル構成に向けたコイル条件を検討した。RFコイルの共振特性は、7T-MRI装置で使用するためはコイルの共振周波数が297.2MHzにチューニングされ、50Ωにインピーダンス・マッチングされることが理想である。このチューニングとマッチングは、RFコイルループ上に配置するコンデンサの静電容量値によって調整可能であり、また観察対象物（以下、Loadingと呼ぶ。）の電気特性やコイルとLoadingとの位置関係にも影響を受ける。電磁界シミュレーションでは、RFコイルを送受信型とし、40mm四方の矩形ループとした。また、Loadingとする円筒型均一ファントムの誘電率と導電率は、約300MHzにおけるヒト脳の白質の値で代用した。さらに、RFコイルとLoadingとの距離は、約5mmとした。FDTD法に基づいた解析により、共振周波数とインピーダンスを理想的な値に調整しうるコンデンサ条件を導出し得た。また、これらの値は、Loadingの電気特性やコイルとの距離によっても変化し得ることが確認できた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 電磁界シミュレーションするための単一RFコイルの設計と、マルチチャンネル構造のコイル設計に時間を要していることに加えて、より詳細な電磁界シミュレーションを行うための演算処理速度に制限があるために時間を要しており、精細な解析とそれに基づくRFコイル製作が当初予定していた計画に対してやや遅れていると判断する。
Strategy for Future Research Activity	設計したRFコイルを応用して、マルチチャンネル型に構成して電磁界シミュレーションを行い、共振特性やデカップリング、SARなどの評価し、RFコイル設計の最適化を進める。電磁界シミュレーション装置の演算処理速度能力を考慮して、まずは粗いシミュレーション設定で処理時間の短縮を図り、RFコイル設計がほぼ固まった段階で詳細なシミュレーションを行う。シミュレーション結果に基づき、マルチチャンネルRFコイルを製作し、ヒト脳組織の電気特性や熱特性などを考慮した人体模擬ファントムを作成して、RFコイルの共振特性やコイル間のデカップリングなどを評価し、最適化を行う。また、RFコイルの安全評価の一つとして、SARと温度上昇をシミュレーションと人体模擬ファントムで調べる。人体模擬ファントムの製作が困難、または時間を要することで研究の進捗に支障が生じると判断する場合は、当該目的に使用し得るファントム製品の導入を検討する。
Causes of Carryover	購入予定であったコンピューターは、既存のコンピューターを代用したため、および今年度は電磁界シミュレーションに基づいたRFコイルの設計と評価を中心に研究開発を進めたため、ファントム材料や電子回路部品として計上していた費用の使用が少なかった。
Expenditure Plan for Carryover Budget	電磁界シミュレーションに基づきRFコイルの構造や特性を改良し、RFコイルを製作する。同時に、RFコイルの共振特性を評価するための人体模擬ファントム製作を試みる。これらの製作に必要な材料を購入するために使用する計画であり、人体模擬ファントムの製作に時間を要し研究進捗に支障が生じる場合は、当該目的に使用し得るファントム購入のために使用することを計画している。また、研究成果の発表、関連する研究開発状況の情報収集や意見交換を行うために学会参加する予定であり、これらに関する経費としても使用する計画である。