2016 Fiscal Year Research-status Report
BNCTのための放射化法による血液中ホウ素同位体非破壊分析法の開発
Project/Area Number |
15K01357
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Research Institution | Japan Chemical Analysis Center |
Principal Investigator |
大島 真澄 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (40354815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
後藤 淳 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (90370395)
伴場 滋 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (40544432)
畢 春蕾 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (80647321)
山口 友理恵 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (30639977)
森本 隆夫 公益財団法人日本分析センター, その他部局等, 研究員(移行) (40544359)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / がん治療 / 血液中ホウ素濃度測定 / 荷電粒子放射化分析 / 放射線シミュレーション / 非破壊分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, BNCT)において、がん細胞に吸収されやすいホウ素入り薬剤が使用されている。安全で効果的なBNCT治療を行うためには、正確な血液中ホウ素濃度測定による照射線量、照射時間管理が必要である。BNCT治療時に必要な血液中濃度は20-30ppmであり、現状では主にICP-AES, ICP-MS分析が行われているが、複数の方法で精度を担保する必要がある。本研究では、新たに荷電粒子放射化分析(CPAA)を開発し、ICP法と併せてB-10濃度分析の高精度化に貢献する。 H27年度においては、放射線シミュレーションGEANT 4.9.3により検出器デザインを決定した。これにより、4台のGe検出器を用いるデザインAとBGO, NaI, Ge検出器各1台を用いるデザインBを選定した。 H28年度においては、A案に必要な4台のGe検出器の入手・借用が可能かどうか検討したが、最終的に困難なことが判明し、B案を採用することとした。B案では、Ge検出器-線源-BGO検出器(NaI検出器内蔵)という構成を取る。最終的に分析センター所有のBGO, Ge検出器と新潟大学のNaI検出器を使用することとした。これらの検出器を茨城県東海村のBNCT施設において、セットアップを行った。データ収集回路については、既存のNIMモジュールを用いて、Ge検出器に対して、BGO検出器、NaI検出器による反同時計数回路を構成した。データ収集装置としては、シングルMCA装置を使用した。Na-22線源を用いたオフライン試験を行った結果、バックグラウンド低減率約10を実現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度においては、H27年度に実施した放射線シミュレーションコードGEANT 4.9.3を用いた計算により決定した検出器体系を実現し、その性能試験を行った。22Na標準線源を購入して、オフラインでの試験を行った。申請時には検出器用架台を製作する予定であったが、既存のブロック等を使用することで、セットアップが可能であることが判明した。その後、NaIより高効率のBGO検出器を借用できることが判明したので、今後その性能評価を実施し、これまでの体系と比較する。その結果によってはその体系を採用する可能性もあるので、積極的に検討したい。
以上の成果は、H29年1月5-6日に、茨城県東海村において開催された「東海・重イオン科学シンポジウムータンデム加速器成果報告会―」においてポスター発表を行った。また、JAEA REVIEW 2014に投稿すると同時に、Applied Radiation and Isotopes誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度において整備した体系の性能評価を進めると同時に、新たに借用可能なBGO検出器を含む体系についても検討し、最終的な体系を完成させる。性能評価は当面、Na-22線源を用いたオフライン試験を行い、血液試料を用いた本試験は原子力機構タンデム加速器を予定している。最終的には茨城県東海村のBNCT施設において、許可申請を取得した上で、実施する予定である。
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Causes of Carryover |
これまでの放射線シミュレーション計算の結果、Ge検出器の対向検出器として、できるだけ高効率の検出器を用いることが有効であることが明らかとなった。現状では新潟大学のNaI検出器を使用する予定であるが、より高効率の検出器として、大容量BGO検出器がある。この検出器は高価であるため、本科研費事業の中で整備することは不可能であるが、検出器借用の可能性があることがわかり、その検討のために検出器架台の製作を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した予算は、NaI検出器または、高効率BGO検出器の検出器架台の製作に使用する。また、原子力機構等における実証実験での実験消耗品や、実験・打ち合わせのための国内旅費、国外、国内会議参加のための旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)