2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01370
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
白山 靖彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (40434542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 志津子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 講師 (10350927)
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (30253462)
井本 逸勢 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (30258610)
永廣 信治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (60145315)
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90193432)
吉岡 昌美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (90243708)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 意思決定支援 / 医療同意 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,本研究の第1段階として,全国の高次脳機能障害支援拠点機関および関連病院などを対象に,意思決定に問題があった高次脳機能障害者の事例や意思決定支援の定式化の必要性などについて,その実態を明らかにした.内容は,全国の都道府県に指定された高次脳機能障害支援拠点機関(以下「拠点機関」)100カ所(平成25年度末現在)と,徳島大学病院・関連病院(以下「関連病院」)20カ所に対し,今までに受診または支援した高次脳機能障害者のうち,訓練や検査の際に意思決定の問題(医療同意困難例含む)が確認された,などの項目ついてアンケート調査を実施した.なお,本調査に関し,事前に徳島大学病院倫理審査委員会の承認を得て行った.拠点機関,関連病院の配布・回収は,49/101(回収率48.5%),19/61(回収率31.1%)であった.高次脳機能障害者の意思決定に際して困った経験がある,と回答した者は,拠点機関が27件(55.1%),関連病院が14件(47.4%)であり,意思決定支援の定式化が必要である,と回答した者は,32件(65.3%),14件(73.3%)であった.患者の治療・支援同意に関する事柄(Mac-CAT-Tから抜粋;診断の理解,疾患の特徴や経過の理解など10項目)ついて多重回答を求めたところ,治療時期や職種などの違いにより,異なった傾向を示していた.また,高次脳機能障害特有の「病識欠如」が,医療同意などを図る上で,大きな障壁になっていることが明らかとなった.以上のことから,本研究の意義は証されたといえる.今後,さらに統計的分析を加え,問題の明確化を図る予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に示した第1段階の高次脳機能障害者における意思決定支援の問題の所在を明らかにするための調査はすでに終了しているが,これを基に高次脳機能障害者の意思決定支援の定式化に向けた検討会の立ち上げ,ならびに合意形成プロセスを明示した原案の作成には未だ至っていない.要因としては,全体に合意形成プロセスに対する回答数が少なく,逆に定式化への困難性を訴える回答数の割合が多かったためで,原案作成の根拠として乏しいと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画に示した介入研究を実施する前に,高次脳機能障害者の意思決定能力(同意能力)を判別するための指標を作成するため,拠点機関や関連病院の医師などから詳細な聴き取りを実施し,その上で意思決定支援の定式化原案の作成に着手する予定である.
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Causes of Carryover |
要因の大きくは,研究計画に示したPCをタブレット端末にしたことで購入コストが減った,統計ソフトが未購入である,などの理由から次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高次脳機能障害者における意思決定支援の定式化に向けた検討会立ち上げの謝金・旅費,統計ソフトの購入など,当初のとおり使用する予定である.
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Research Products
(4 results)