2015 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷による神経因性膀胱における温度受容体の機能の解明
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15K01374
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 輝 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 講師 (40347109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30295282)
上川 百合恵 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (70418854)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温度受容体 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、α,βメチレンATPによるラット摘出排尿筋収縮に対する寒冷受容体TRPM8の作動薬であるメントールの影響を検討した。 SD系雌ラットを深麻酔下に断頭後、膀胱を摘出し、10×2 mmの排尿筋切片を作製。切片を37℃に保温し95% O2+5% CO2で通気したKrebs-Ringer液で満たした10ml organ bath内に懸垂し、アイソメトリックトランスデューサー(TB-651T;日本光電)に接続し1gの静止張力をかけた状態で平衡化させた。その後α,βメチレンATP 0.01 mMを25分間隔で作用させ安定した収縮反応が観察されるようになったところで0.1 mM、0.3 mM、1 mMのメントールを11分間作用させた際のαβメチレンATPによる収縮反応の変化を調べた。その結果、0.1 mM、0.3 mM、1 mMのメントールは、α,βメチレンATPによる収縮反応をそれぞれ15.4±1.1%、35.4±3.1%、92.2±2.5%ずつ抑制した。 我々はこれまでの研究でメントールがムスカリン受容体の作動薬であるカルバコールや高濃度Kによる収縮反応を抑制することを報告してきたが、アセチルコリンと同様に膀胱における重要な神経伝達物質であり、病的な状態での膀胱平滑筋収縮においてより重要な役割を担うとされるATPによる膀胱平滑筋収縮に対してもメントールが抑制作用を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度末に行われた研究室の改修、移転後に一部の実験機器の設定が予定通りに進まず、当初予定していたシストメトリーによる実験を遂行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験機器の設定は現在順調に進んでおり、来年度はシストメトリーの実験も予定通り実施できる予定である。また、小動物排尿機能測定装置の導入により、多面的に排尿機能への温度受容体の関与を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、既存の実験機器や薬物を使用することで遂行可能な実験を行ったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、試薬や小動物用排尿機能測定装置の購入に使用することを計画している。
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