2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢慢性心不全患者に対する包括的心臓リハビリテーションは認知機能低下を予防する
Project/Area Number |
15K01389
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
東條 美奈子 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (80327345)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 循環器病予防医学 / 認知機能 / 血管内皮機能 / 心臓リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
心血管病の最大の原因の1つである糖尿病において認知機能は早期から低下し、糖尿病患者のアルツハイマー型認知症の発症リスクは約2倍、血管性認知症は約3倍になると報告されている。また、心不全患者の約半数に認知機能低下を認め、心不全疾病管理におけるセルフケア能力の低下が心不全の度重なる再入院の一因と考えられている。さらに、糖尿病と心不全に共通する病態として血管内皮機能低下と微小循環不全があり、全身の骨格筋量の低下が生じサルコペニアを来たしやすい状態となる。そのため、糖尿病と心不全の合併は高齢心血管病患者のフレイル状態を促進し、歩行能力などの身体機能を低下させ、さらに病態悪化を招く悪循環が生じる。血管内皮機能低下は動脈硬化を惹起し、その動脈硬化がさらなる認知機能低下を促進することも明らかになっている。 運動療法を中心とした包括的心臓リハビリテーション(以下、心リハ)は、心血管患者に対して身体的効果、精神的効果、QOLに及ぼす効果、二次予防効果が数多く報告され、国内外のガイドラインにもそのエビデンスが明記されている。我々は、高齢心疾患患者において血管内皮機能が低下し、その程度は認知機能と密接に関与することを報告した(International Heart Journal in presss)。さらに、通常の運動療法が困難なフレイル状態にある高齢心血管病患者においても心リハは安全に実施可能であり、かつ血管内皮機能改善に伴って、認知機能の改善が得られることを明らかにした(欧州心臓病学会 ESC 2017発表、投稿準備中)。 また、高齢心血管疾患患者に対する心リハプログラムとして、フレイル状態であっても安全に実施可能な加速度トレーニング・プログラムを開発した。本プログラムの実施により、血管内皮機能や自律神経機能が改善されるとともに、微小循環改善効果が得られることを明らかにした(投稿中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた成果が得られ、国内外における主要な学会で発表をした他、すでに英語論文が採択されているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在は、研究者らが開発した高齢心血管疾患患者に対する心リハプログラムが心血管病患者の認知機能低下予防に有効かどうかを明らかにすることを目的とした臨床研究を実施中である。対象とする安定期心血管病患者は通常心リハ群と加速度トレーニング群とに無作為に割り付け、介入前後において、認知機能検査、頭部MRI画像診断(VSRAD)を評価するとともに、血管内皮機能と関連するバイオマーカーへの影響を検討する。
|
Causes of Carryover |
本研究の成果の1つは「Endothelial dysfunction is associated with cognitive impairment of elderly cardiovascular disease patients: a reactive hyperemia peripheral arterial tonometry study」として、 International Heart Journal に採択され、現在、出版待ちである。当初は、今年度の研究費として論文投稿費用を計上していたが、請求が次年度にずれこむことになったため、次年度使用分としてその費用を残すこととした。 当初の申請通り、最終年度にあたる今年度は現在進行中の臨床研究を完了し、自施設における新規バイオマーカーの測定を行い、総合的な解析等をおこなったうえで、論文化する予定である。研究費は測定のためのELISAキットおよび実験試薬、英文校正、論文投稿費として使用する計画である。
|
Research Products
(10 results)
-
-
[Journal Article] Gait speed has comparable prognostic capability to six-minute walk distance in older patients with cardiovascular disease.2017
Author(s)
Kamiya K, Hamazaki N, Matsue Y, Mezzani A, Corra U, Matsuzawa R, Nozaki K, Tanaka S, Maekawa E, Noda C, Yamaoka-Tojo M, Matsunaga A, Masuda T, Ako J.
-
Journal Title
Eur J Prev Cardiol.
Volume: 印刷中
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Rationale and design of a multicenter placebo-controlled double-blind randomized trial to evaluate the effect of empagliflozin on endothelial function: the EMBLEM trial.2017
Author(s)
Tanaka A, Shimabukuro M, Okada Y, Taguchi I, Yamaoka-Tojo M, Tomiyama H, Teragawa H, Sugiyama S, Yoshida H, Sato Y, Kawaguchi A, Ikehara Y, Machii N, Maruhashi T, Shima KR, Takamura T, Matsuzawa Y, Kimura K, Sakuma M, Oyama JI, Inoue T, Higashi Y, Ueda S, Node K; EMBLEM Trial Investigators.
-
Journal Title
Cardiovasc Diabetol.
Volume: 印刷中
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
[Presentation] Cardiac rehabilitation improves cognitive function in elderly patients with cardiovascular disease.2017
Author(s)
Fujiyoshi K, Yamaoka-Tojo M, Minami Y, Kutsuna T, Obara S, Takahashi Y, Sekine E, Aoyama A, Katsura A, Kakizaki R, Nemoto t, Namba S, Hashimoto T, Ynagisawa T, noda C, Meguro K, Shimohama T, Tojo T, Ako J.
Organizer
European Society of Cardiology 2017
Int'l Joint Research
-
-