2017 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋幹細胞の老化:転写因子の局在変化を基盤とした筋分化・再生制御機構の解明
Project/Area Number |
15K01392
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
船越 智子 (石井智子) 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 技術員 (90318460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 修一 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 先任准教授 (40421226)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋サテライト細胞 / サルコペニア / 多分化能 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)発症の機序の詳細は、いまだ明らかにされていない点が多く残されている。本研究では、サルコペニア発症機序について、骨格筋幹細胞である筋衛星(サテライト)細胞の機能に着目して検討してきた。自己複製能や多分化能は、骨格筋幹細胞であるサテライト細胞の特性である。後者の多分化能について、ラット初代培養細胞を材料として解析を行ってきた。 筋以外への分化誘導に対する抵抗性の有無を検討するために、脂肪分化誘導条件を利用した。ラット下肢骨格筋から単離した初代培養サテライト細胞の脂肪分化過程を細胞形態、細胞内トリグリセライド量、遺伝子発現変化について検討した。筋分化誘導条件下では細胞が相互に融合し筋管を形成する一方、脂肪分化刺激を与えた場合には細胞質内に脂肪滴を蓄積した脂肪細胞様の形態へ変化した。脂肪分化刺激により、脂肪細胞分化のマスターレギュレーターであるPPAR-gammaや、FABP4の転写レベルが上昇し、サテライト細胞のマーカーであるPax7の転写は低下した。高効率で分化させるための培養細胞密度や培養表面のコーティング条件は、筋分化と脂肪分化で異なっており、分化初期の培養条件が、分化効率に影響することが示された。 脂肪分化実験系を利用して、食材に含まれるポリフェノールの一種が脂肪分化抑制活性を示すことを報告してきた。脂肪分化刺激により誘導されたPPAR-gammaやFABP4の転写が、本素材によって抑制された。以上、in vitro実験で示された結果を誌上報告した。また、筋損傷抑制効果や線維化、脂肪化に対する効果を、in vivoで評価するための実験系構築のため検討を行った。運動による筋損傷動物モデルに関して、組織学的解析や血中CK濃度の変化などの結果を学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
異動に伴い、飼育管理していた使用予定の実験動物の利用が不可能となり、当初の動物利用計画を変更しなければならなくなった。動物種の変更も検討しているが、適当な実験条件を見出せていない状況にある。また、予期しない動物施設管理上の問題から、新たに確保した老化動物の利用も不可能となった。本年度の、加齢変化を対象とした実験の実施が不可能な状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していた老化動物の使用が出来ず、加齢変化についての実験の実施は不可能となった。老化動物利用が可能になった場合に備え、基礎的な情報を得るために若齢動物や培養細胞を利用して、可能な範囲での検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた老化動物の使用が出来ず、加齢変化についての実験の実施は不可能となった。動物種を変更するためには、初代培養細胞の実験系について再検討する必要があり、予定していた実験の実施に至らなかった。実施できなかった実験が多かっため、次年度まで研究課題実施の期間を延長する予定であり、その費用に充てる。
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