2017 Fiscal Year Research-status Report
除皮質灌流標本を用いた呼吸/循環と歩行の間の自律機能のメカニズムの解析
Project/Area Number |
15K01393
|
Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
矢澤 格 星薬科大学, 先端生命科学研究所, 客員研究員 (40360656)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 清二 星薬科大学, 先端生命科学研究所, 教授 (80102375)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | Locomotion / Spinal Cord / LPG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、除皮質灌流標本を用いて(1) hyperoxia/normocapneaといった特異的な呼吸状態により変調した交感神経トーヌスが脊髄下向路を介して頸髄と腰仙髄から構成される神経回路網(Forelimb Pattern Generator [FPG]やLocomotor Pattern Generator [LPG])を活性化する結果、上下肢に左右交互の歩行様活動を自発的に産生すること、(2)下肢の歩行時には活性化したLPGが脊髄上向路を介して脳幹内の呼吸中枢に影響を及ぼす(Spinal-Feedback Mechanismにより呼吸リズムと歩行リズムが同期する)こと、(3)歩行時には一過性に呼吸数と血圧が上昇し、活性化した脊髄が脊髄上向路を介して三叉神経系に影響を及ぼすことで呼息期の開口運動を産生すること、を生きた動物で再現可能かどうか、そして、灌流標本に人工血液を導入した新システムを用いて上記に関連した中枢領域のダイナミックマップの作成をメインテーマとしている。 昨年度は、歩行様活動時にLPG を構成する一部の神経回路網がどのようなダイナミックマップを形成しながら歩行様活動を出力するのかを知るために光学的・ 電気生理学的手法を用い基礎研究を行った。それに並行して、灌流標本に人工血液を導入した新システムの作成を予定していたが、諸問題により大幅に計画が遅れている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
父の他界により母の面倒を見る時間が増えたこと、教育業務が増えたこと、などの理由により、研究計画通りに進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
現行の除皮質灌流標本システムは、血漿成分からなる溶液に酸素付加したものを灌流液として使用している。このシステムで使用される灌流液は血液に比べて酸素運搬能が低い。そのため、安静時の動物における単位時間当たりの循環血液量と比べて多量の灌流液を標本に循環させることで、低体温下の標本を維持することが可能となる。この実験条件は、電気生理的手法を用いた実験ではほとんど問題はない。しかし、光学的計測法、特に色素を使用する外因性光学計測では色素が組織に染まり難いといった問題が生じる。また、標本を生体と同じ体温で維持しながら長時間の実験を実施するのは難しい。そのため、今年度は除皮質灌流標本に人工血液を導入した新灌流システムの作成を行い、生体の体温に近い条件下で自発的な交互運動を産生する至適条件を見出すこと。そして、新灌流システムを光学計測法に適用し、自発歩行の誘発時の脳幹と脊髄との間で生じる神経伝達様式を示すダイナミックマップの作成を計画している。
|
Causes of Carryover |
人工血液実験に必要なmembrane oxygenator、人工血液等の購入を予定している。光学的計測では、除皮質還流標本用に計測機器の光学系の修正、光学フィルター等が必要となるため、左記の購入を予定している。さらに、これまでの研究成果を論文にすることを予定している。
|
Research Products
(4 results)