2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の口腔咽頭機能評価に対する舌の立体認知能・運動能からのアプローチ
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15K01404
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
増田 渉 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (80295865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河岸 重則 九州歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (20137334)
濱嵜 朋子 九州女子大学, 家政学部, 教授 (60316156)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 舌立体認知機能 / 摂食嚥下 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、テストピースを用いて舌の立体認知能・運動能を測定・定量化することにより、高齢者の口腔咽頭機能について簡便かつ客観的に評価し、本法を利用した新しい診断方法への臨床応用を展開するための基盤となる研究を行うことを目的としている。本法の確立により、高齢者の摂食嚥下機能評価がより正確に測定することが可能となると考える。 昨年度の調査で健常成人としての被験者は女子大学生のみであったため、今年度はまず、健常成人として男子大学生を被験者として基本的な舌の状態(舌所見、舌圧、舌表面湿潤度、唾液分泌能、味覚テスト)とテストピースを用いた舌の立体認知能について調べ、それぞれの相関について解析した。その結果、女子大学生の結果と同様、舌の状態に関する各調査項目と舌の立体認知能との間に関連は認められなかった。また、舌の状態に関する各調査項目間での関連についても調べたが、各項目間に有意な関連は認められなかった。したがって、健常成人における舌に関する項目はそれぞれ独立した要素であることが考えられた。さらに、今年度は高齢者を被験者として、健常成人と同様に基本的な舌の状態(舌所見、舌圧、舌表面湿潤度、唾液分泌能、味覚テスト)とテストピースを用いた舌の立体認知機能について調べた。高齢者に関しては現在データ収集を完了し、統計学的手法を用いて解析中である。また、このような高齢者の口腔咽頭機能に関する基礎データの収集と解析と同時に、食事介入することでこれらの値がどのような影響を受けるのかについても検討しており、これについても現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度我々は当初の計画どおり、高齢者に対するコントロールとして健常成人(女子大学生)に対して、基本的な舌の状態(舌所見、舌圧、舌表面湿潤度、唾液分泌能、味覚テスト)とテストピースを用いた舌の立体認知機能について調べ、それぞれの相関について解析した。しかし昨年度の調査で健常成人としての被験者は女子大学生のみであったため、今年度はまず、健常成人として男子大学生を被験者として同様の調査を行った。その結果、女子大学生の結果と同様、舌の状態に関する各調査項目と舌の立体認知機能との間には関連が認められなかった。また、舌の状態に関する各調査項目間での関連についても調べたが、各項目間に有意な関連は認められなかった。したがって、健常成人における舌に関する項目はそれぞれ独立した要素であることが考えられた。以上よりまず、健常成人(男女大学生)におけるデータ収集と解析が完了した。 さらに、今年度は高齢者を被験者として、健常成人と同様に基本的な舌の状態(舌所見、舌圧、舌表面湿潤度、唾液分泌能、味覚テスト)とテストピースを用いた舌の立体認知機能について調べた。高齢者に関しては現在データ収集を完了し、統計学的手法を用いて解析中である。よって本件に関しては、解析は残っているものの、解析の終了は時間の問題と考えられ、解析終了次第、高齢者の舌の立体認知機能を定量・評価するモデルを構築する基盤を作成する段階に入れると考えられる。以上のことより、本研究は、計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、高齢者に対して基本的な舌の状態(舌所見、舌圧、舌表面湿潤度、唾液分泌能、味覚テスト)やテストピースを用いた舌の立体認知機能、さらに摂食嚥下に関わる項目について調べたデータを統計学的に解析中である。今後、それらの解析結果を、健常成人(男女大学生)における同様の調査結果との間で比較し、高齢者における舌機能を中心とした摂食嚥下機能の特徴について比較検討する。そうすることで、高齢者の舌の立体認知機能を定量・評価するモデルを構築する基盤を作成する。また高齢者の摂食嚥下機能が、食事介入することによりどのように影響を受けるかについての研究も同時進行している。この研究により、加齢とともに衰えてくる摂食嚥下機能を、少しでも抑制できるような食事法や調理法、食材を探索することで、高齢者のQOL維持・向上に寄与できると考える。
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Causes of Carryover |
本年度に購入する予定であった物品が、本年度内に納品されることが不可能であったため、その分の金額を来年度へ繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由の欄に記載した理由より、購入予定であった物品を今年度に購入し、研究を漸次進めていく予定である。
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