2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01419
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
菊池 真 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20404585)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 低酸素 / ミトコンドリア / 末梢神経 / 軸索 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体では、低酸素環境は神経細胞に重篤な影響を及ぼすことは明らかであり、今回、我々は低酸素環境が末梢神経性軸索内のミトコンドリアにどのような影響を及ぼすのかを遺伝子工学技法、細胞培養法、タイムラプス顕微鏡などを用いて観察した。その結果、0.5%酸素環境下で24時間暴露した低酸素群を作成し、対照群と比較した。その結果、輸送ミトコンドリアの数、並びに軸索内ミトコンドリアの微小形態に大きな違いは観察されなかった。 次に、我々は無糖培地を用いて、更に24時間、無糖培地に暴露した低グルコース群と、24時間、0.5%酸素と無糖培地に暴露された低酸素・低グルコース(OGD)群を作成して低酸素群、対照群と比較した。その結果、対照群および低酸素群と比較してOGD群の輸送ミトコンドリアの数が有意に減少していた。また、OGD群では輸送ミトコンドリアが全く見られない軸索も観察された。このことから、結果の考察には細胞死との関係を含める必要が示唆された。 輸送ミトコンドリアの数において、低グルコース群と対照群、低酸素群の間には有意な差はみられなかったが、OGD群とも有意な差はみられなかったため、観察数を増やして輸送ミトコンドリアの各郡における変化を観察する必要がある。 今後は、更に観察数を増やし、各郡の比較を行い、輸送ミトコンドリアの各郡における違いを明らかにするとともに、軸索内の停留ミトコンドリアのサイズや電子顕微鏡を用いた微細構造の観察ならびに、種々のタイムポイントで細胞死を含めた検討が必要であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始年度に導入予定だった、機材の導入が遅れやタイムラプス顕微鏡の不具合が重なり、ほぼ一年間、研究が滞り、培養実験の開始が遅れた。そのため、解析に必要なデータ数を収集することに遅れが生じ、現在まで培養実験とタイムラプス顕微鏡による観察を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
低酸素環境だけでは、軸索内の輸送ミトコンドリアの数に影響しないことが明らかになりつつあるので、無糖培地を用いて、新たに低グルコース環境と低酸素・低グルコース(OGD)環境を設定する。現在のところ、24時間のOGD暴露で、輸送ミトコンドリアの数並びに軸索内ミトコンドリアの数に影響する知見を得られている。 今後は、細胞死を含めて、幾つかのタイムポイントを設定し、軸索内ミトコンドリアと低酸素、低グルコース、OGDの影響を対照群と比較し、解析をすすめたい。
|
Causes of Carryover |
実験開始年度に、使用機材の搬入の遅れと、タイムラプス顕微鏡の不具合が重なり、培養実験の開始が大幅に遅れた。よって、現在まで、予定した培養実験数に足りない状況である。このため、培養実験が予定していた数よりも下回ったため、次年度使用額が生じた。 今後、予定していた培養実験を行い、次年度使用額はその培養実験に関する物品の購入に充てる予定である。
|
Research Products
(6 results)