2016 Fiscal Year Research-status Report
歩行中の骨盤の動きが重心移動および機械的効率性に与える影響
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15K01421
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
神先 秀人 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (10381352)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歩行分析 / 重心移動 / 骨盤 / 股関節運動制限 / 機械的効率性 / エネルギー交換 / 運動学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の主な課題は,骨盤の上下移動に変化を与えた時の,①重心移動・エネルギー交換率に及ぼす効果,②下肢の運動学,運動力学的パラメーターへの影響,③下肢筋活動への影響を明らかにし,歩行中の異常な骨盤運動を伴う下肢関節運動の特徴や下肢筋活動にもたらす変化を特定することである.骨盤の上下移動に影響を与える条件として,一側股関節の伸展制限(0,10,20度),股関節内転10度固定,外転10°固定位での歩行を,股装具を用いて設定した.また,歩隔による重心移動への影響をみるために,歩行路に10cm間隔でテープを貼り,0~30cmの範囲における解析を行った.対象は,20-21歳の女性16名と男性14名である.三次元動作解析装置および4枚の床反力計を備えた歩行路上を各条件で歩行させとともに,筋電計,足圧計を用いて筋活動,足圧分布を測定した. 股装具装着での無制限,-20度伸展制限,10度内転固定,10度外転固定の4条件の比較(女性14例)では,歩行速度がそれぞれ,69.9,68.3,69.1,67.2m/secであった.一歩行周期中の重心移動幅は側方が,2.9,3.2,2.2,5.0 cmで上下は,3.78,3.75,3.80,3.71cmで,側方移動幅が内転固定時に小さく,外転固定時に大きくなるが,上下の移動幅には有意な変化をもたらさなかった.機械的効率性を示す体重1kg ,進行距離1mに対する仕事量は,同様に,0.69,0.63,0.66,0.66, Joule/kg/mで,重心の運動エネルギーと位置エネルギーの交換率は,65.2,66.4,66.2,66.2%と条件間による差はみられなかった. 股伸展制限時の骨盤,体幹の矢状面上での運動に注目すると,無制限時と比較して,歩行中の股関節伸展角度の減少を骨盤前傾で代償することで,絶対空間上の胸椎部の屈曲伸展運動の変化を抑制していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
男女30名を対象として,多くの条件下における歩行分析を行った.床反力計のアンプ交換などにより,多少の測定の遅延が生じたが,測定自体は予定通り終了した.しかし,多くの条件での3次元の運動学,運動力学データ,筋電図,足圧分布という多量のデータを収集したため,その解析に膨大な時間を要し,現在も解析作業が継続中である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に予定していた股関節に運動制限を加えた条件での研究は28年度に終了したが,骨盤と体幹の間に運動制限を加えての歩行分析は行っていないので,予定通り,体幹装具を作成し実験を進める. 平成28年度に予定していた随意的な体幹の側方傾斜と骨盤側方傾斜時の歩行分析に関しては,プレ実験の結果,対象者によるばらつきや再現性に問題があるため,解決策が得られない場合は中止する予定である. 本年度は,これまでに得られた研究結果を論文として投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
解析のための人件費に高額を要し,予定した物品が購入できなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度も解析作業の人件費が高額になることが予想されるため,その経費に充当する.
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