2015 Fiscal Year Research-status Report
脳酸素動態に基づいた運動療法の新しいリスク管理基準の作成
Project/Area Number |
15K01433
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
椿 淳裕 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (50410262)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60544393)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 酸素化ヘモグロビン / 中強度運動 / 運動後安静 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者のこれまでの研究により,運動強度の増加に伴い脳内酸化ヘモグロビンは増加した後,高強度運動時に減少する現象が観察された.また,低強度運動や中強度運動であっても,運動開始直後や運動終了直後に脳内酸化ヘモグロビンの低下が生じることが明らかとなった.本研究の目的は,運動療法による疾病予防や再発予防の安全性向上に寄与するため,1)脳酸素動態に影響する体循環および換気の要因を明らかにすること,2)脳酸素動態に基づいた新しいリスク管理基準を作成することとし,3年間実施する研究の初年度であった. 健常若年成人を対象とし,下肢自転車エルゴメータ駆動による中強度運動を課題とした.運動中および運動後には,脳酸素化ヘモグロビン濃度(O2Hb)変化を測定した.同時に,体循環変動として平均血圧,頭皮血流,下肢筋血流を,換気指標として酸素摂取量,二酸化炭素排泄量,呼気終末二酸化炭素濃度を測定した. 中強度運動中にO2Hbは上昇し,運動終了時にピークを迎えた.運動終了後にO2Hbは急激な低下を示し,運動を停止し安静にしているにもかかわらずその後O2Hbは再度上昇する現象が観察された.O2Hb低下時には,平均血圧の急激な低下が観察された.一方,O2Hb変動に影響するとされる頭皮血流の変動とは異なっていた.運動中に減少した下肢筋血流は,運動終了直後より上昇した. 運動終了直後のO2Hb変動には体循環変動の影響が強いことが考えられた.また運動後には頭皮血流の影響は小さいことが考えられた.運動後安静中のO2Hbの上昇には,運動終了後の血流の再分配が関与していることが考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者のリクルートを含め,概ね順調にデータ収集ができている.また,運動中のデータ計測において大きなトラブルはなく,順調に安定した計測ができており,概ね順調に進展していると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目は,1年目の計測データをもとに,リスク管理基準の作成を進めていく.同時に,低強度および高強度での運動を実施し,運動前後を含めてデータ計測を実施する. 1年目の計測によって得られた知見を,関連する国内外の学会で公表する.また,論文化し投稿を行い,研究の成果を広く周知していく.
|