2016 Fiscal Year Research-status Report
A Study on changing of crutch structure to reduce the risk of falling down due to deviation of the axillary pad during axillary crutch walking.
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15K01446
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
永崎 孝之 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 准教授 (00435158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 親宗 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (50281837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 松葉杖 / 脇当ての脱落防止 / 脇当てに加わる圧 / 松葉杖構造変更 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,腋窩型松葉杖歩行時に脇当てが腋窩から脱落しやすいという問題に対し,松葉杖構造の変更によって脱落軽減に繋がるか否かを検証し,腋窩型松葉杖歩行の安全性および安定性に寄与することである.この主題に対し昨年度は予備実験として構造変更(握り位置の変更)を9名の被験者を対象に行い,握り位置の変更すなわち握り外旋角度の至適角度の検討を行った.結果,5°および10°の握りが示唆された.そこで今年度は12名の被験者を対象に,標準握り(現行握り),5°握り,10°握りの3条件で脇当ての胸壁側と上腕側に加わる圧差について検討を行い,松葉杖構造の変更の有用性について検証を行った. 検証の結果,12名の被験者のうち胸壁側と上腕側に明らかな圧差が認められ,脇当ての腋窩内での安定性が不十分であり脱落の可能性が高い5名の被験者では,5名中4名(80%)で現行握りより5°握りまたは10°握りに統計学的有意差を認め,圧差が小さくなることが分かった.このことより脇当ての腋窩内での安定性が不十分な腋窩型松葉杖利用者については,松葉杖構造の変更は有用である可能性が示唆された.握り位置の変更すなわち握り外旋角度の至適角度については5°が最も有用であったが,被験者によっては10°でも有用の場合があり,至適角度の決定は困難であった.これは各個人の身体的状況や歩行様式などが影響していると考えられ,角度の設定はむしろ汎用性を制限するため個人に合わせることが可能な可変が望ましいと考えられた.今回の結果を基に次年度は臨床応用に向けさらに検討を進めていく予定である. 今年度の研究成果の発信については,JSPS科研費25560273の成果も含め,理学療法専門誌(英文)の掲載に加え,国際学会および国内学会の発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,松葉杖構造変更(握り位置の変更)に関する計測,解析が終了し,一定の結論が出たこと.さらに最終年度の臨床応用に向けた松葉杖を試作し計測計画を立案している段階であることから,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では,最終年度は臨床応用に向けた握り構造に変更を施した松葉杖の試作と臨床での検討を行う予定であった.現状では有用性も示唆され臨床応用に向けた研究段階は順調に進展しているものの,臨床応用においては構造変更が必要な松葉杖のためデザイン,仕様を含めた設計段階で難渋しており,臨床応用に適した試作松葉杖の製作が可能かが大きな課題となっている.現在松葉杖業者と検討中である.なお協力臨床施設については数施設確保出来ており,試作松葉杖が完成次第施設での倫理申請を行い実際に検討できる体制を取る予定である.すべては松葉杖の試作が課題であり,当初は最終年度内にある程度の結果が出せればと考えていたが,試作松葉杖完成時期により時期が延びる可能性も視野に入れる必要がある.またあわせて特許申請も検討中である.
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Causes of Carryover |
昨年度までは使用額が大きく隔たっていたが,今年度は計測後の解析のための物品を購入し,十分な解析環境が整った.また,学会発表も国内2回,国際会議1回と成果も報告できた.次年度使用額は生じたが50,000円以内と少額に修正することができた.この金額は,本来今年度に実施するはずであった計測の謝金を昨年度に実施し支出したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は臨床応用を目的とした松葉杖の製作,臨床施設での臨床応用,および国際会議への成果報告,情報収集に支出予定であり,そのうち今年度生じた次年度使用額(48,752円)は,次年度実施予定の臨床応用のための旅費,あるいは被験者への謝金として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)