2015 Fiscal Year Research-status Report
シスプラチン腎症に対する温熱プレコンディショニングの効果
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15K01447
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
岩下 佳弘 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (70623510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯山 準一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (00398299)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温熱プレコンディショニング / シスプラチン誘発性腎障害 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
シスプラチン(Cis)に対する腎耐性を確認する目的で、C57BL/6、BALB/c、C3H/Heの系統で腎機能の指標である血清Cr、BUN、尿中アルブミン排泄量を調査した。C57BL/6は他の2種に比して、明らかに腎耐性が高いことが確認された。次にCis投与前、投与から24時間、48時間のタイムコースで尿中タンパク排泄量を調査した。シスプラチン投与前をベースラインとした。C57BL/6マウスは、すべての時間でほぼベースラインで推移した。BALB/c、およびC3H/Heマウスは、それぞれ24時間値で1.4倍と2.6倍、48時間値で3.6倍と6.1倍の増加が認められた。 次に、C3H/Heマウスを用い、コントロール、室温+Cis、温熱+Cis、生理食塩水+Cisの4群に分け、温熱で前処置した6時間後、Cis20㎎/kgを投与し、48時間後をエンドポイントとして腎機能を調査した。Cisを投与した3群は、体重、食餌量、飲水量、尿量のいずれもコントロールに比して有意に低下したが、温熱の影響は認められなかった。室温+Cis投与で有意に増加した血清Cr値やBUN値は、温熱前処置で有意に軽減した。しかし、生理食塩水過投与では認められなかった。PAS染色において、室温+Cisで観察された尿細管の嚢胞性拡大や上皮壊死や変性は、温熱で有意に軽減した。生理食塩水過投与では認められなかった。尿細管の薬剤トランスポーターであるOCT2、MATE1発現はCis投与によって有意に軽減したが、温熱前処置により軽減される傾向を認めた。アポトーシス経路においては、Cis投与によって高発現するBax蛋白質を有意に抑制し、TUNER陽性細胞が有意に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまではおおむね順調に進展できたと思われる。現象として温熱前処置によりシスプラチン誘発性腎症が抑制され、病理組織学的検討において、温熱前処置は尿細管傷害を軽減すると考えられた。しかしながら機序に関連しそうなタンパク質発現などまた十分な検討ができていないため、それらの調査が今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進めていきたいと考えておりますが、平成28年度におきましては、熊本震災により実験室や動物飼養保管室が壊滅的な被害を受けたため、その復旧までにかなりの時間を要するものと思われ、また予算等の都合により実験が遅れたり、制限される可能性が考えられます。どの程度の実験ができるようになるのか、現時点ではまた見通しが立っておりません。まず、実験関連機器の動作確認や破損機器の修理や再購入の検討、また冷凍保存していたサンプル等が使用できるかの確認からの再開になる予定です。
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Causes of Carryover |
当初用機序に関連すると想定していたHsp70やHsp27の発現に思うような結果が得られず、別の因子を探索することとした。そのため、免疫染色等の委託を中断しており、それらに関する費用が残る結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
震災により使用不能になった試薬類や測定機器の購入、およびHsp等の免疫染色を実施。
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Research Products
(1 results)